2017年5月10日

≪まごいちピアノ日記 No.027≫ Bösendorfer (GP, GPフルコン)

ウィーン旅行。
ウィーンでピアノを弾きたい!と、ウィーン在住の知り合いの方に厚かましくお願いして、予約をしていただきました。
ウィーンで生まれたピアノ、ベーゼンドルファーです!


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Bösendorfer
(L. Bösendorfer Klavierfabrik GmbH)
1828年 オーストリア/ウィーン
イグナーツ・ベーゼンドルファーによって創業
2008年よりヤマハ株式会社の子会社となる
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イグナーツ・ベーゼンドルファーは1794年にウィーンで生まれ、19歳の時オルガン製造者のヨーゼフ・ブロッドマンに弟子入りしました。
優秀な弟子となった彼は、1828年にブロッドマンの工場を引き継いでピアノ作りを開始します。
イギリスで蒸気機関車が発明され、フランスではナポレオンが失脚、ウィーンではウィーン会議が開かれていた頃です。

ベーゼンドルファーを有名にしたのは、超絶技巧として知られるフランツ・リストです。
リストの力強いタッチでは、当時のピアノはコンサート中に音が狂ってしまうことがよくあったようですが、ベーゼンドルファーのピアノは、リサイタル後も音の狂いやズレはほとんどありませんでした。
これ以降、リストはベーゼンドルファーを好んで使うようになり、ベーゼンドルファーの名前と地位が不動のものとなりました。

1966年に、アメリカのキンボール社に買収され、2002年オーストリアの銀行BAWAGP.S.K.グループにより、再びウィーンに戻りますが、2008年からはヤマハ株式会社の傘下となっています。

ベーゼンドルファーのピアノは1年以上の月日をかけて全工程を手作業で作られ、年間約250台しか製造されない、芸術品とも言えるピアノです。

ベーゼンドルファーはピアノのボディー全体が鳴ると言われます。
側板(がわいた)に切れ込みがあり、板にテンションがかかってない状態です。
曲げた外側に切れ込みを入れると板が素直に曲がるので、緊張が減り、箱として側板を響かせるようにできているそうです。

ちなみに、スタインウェイの側板は1枚の木を曲げてあるので、木が張っていて側板はあんまり振動できないそうです。
ベーゼンドルファーとスタインウェイの弦の張力を比べるとベーゼンドルファーの方が強く張られています。
張力が強いと弦の振れ幅は小さくなります。
張力が弱い弦を叩くと、大きく振動して弦が鳴ります。
スタインウェイの方が音の立ち上がりは抜群で迫力ある音になるようです。

借りたピアノ
■日時:2016年3月9日(火)10:00~11:00
■場所:Bösendorfer Stadtsalon Wien
■住所:Bösendorferstraße 12 (Eingang Canovagasse 4)
■TEL:+43 1 504 66 51 310
■機種:Konzertflügel Modell Imperial、Flügel Modell 280
■製造番号:不明
■部屋の広さ:不明 (広い)
■料金:40€/60分



楽友協会と同じ建物の東側にベーゼンドルファーのお店があり、その中に練習スタジオがあります。
10:00オープンなので、それまで少し外で待ちます。
北側の通りは、ベーゼンドルファーシュトラーセ。


来訪ノートには、日本人もいっぱい来ているようでした。

スタジオを予約している旨を伝えると、お店のお姉さんから予約できてないって言われて本当にびっくり!
「But、no problem! 今はスタジオ空いてるから」って言われたけれど…
結局、お店のお姉さんが日付を間違えていたみたいで、実はちゃんと予約できていました。
良かった良かった!


1部屋にベーゼンドルファーが2台。
1台はインペリアルで、もう1台はモデル280ですから通常のフルコンサートピアノです。


インペリアルは、ブゾーニ(イタリアのピアニスト)の要望によって作られたモデルです。
低音が通常よりさらに9鍵盤多く(エクストラベースと言われます)、全部で8オクターブの音域になっています。
増えた分の鍵盤(白鍵)の上面は、黒く塗られています。
これらの鍵盤は、弾く用というよりは共鳴用。
増えた鍵盤の分だけ、響板の面積が増え、太い弦も張られるので、倍音が豊かになり音色が豊かになります。
特に低音から中低音にかけての響きが深くなります。



ベーゼンドルファーにはキラキラ感はあまり感じません。
重厚感があって堂々とした音色。


ベーゼンドルファーを弾くといつも、弾く瞬間から音になるまでに時差を感じます。
これは、なかなか共感してもらえないことが多いのですが…

時差が手に馴染むとすごく弾きやすく、勝手に音楽が流れて進んでいってくれます。
細かい音のレガートがとてもキレイにできます。
速く弾くと、どんどん音が上塗りになって分厚くなっていくので、自然と曲の速さが少しゆっくりめになります。
ペダルは少なめでちょうど良い感じ。


部屋の天井が高くて、建物の造りも石(?)なので、部屋自体がよく響きます。
空気も乾燥していて、たぶん音も良く飛ぶのではないかと。
ピアノの弾き心地自体は、日本で弾くベーゼンドルファーと変わりませんが、弾く環境が変わると、音ってこうなるのかー!と驚きです。

低音から順にドソドソドソ…とペダルを踏みながら弾くと、本当にパイプオルガンの音色に聴こえて、感動!!

お土産に、ベーゼンドルファーのロゴ鉛筆、1缶6本入りで14€を購入。
これは日本でも買えますが…。
中の木の部分まで真っ黒な鉛筆です。


お店のお姉さん(予約の件と同じお姉さん)、この鉛筆の缶の中、ずっと5本入りって言っていました。
おっちょこちょいな可愛い方です。

【まごいち音楽教室】
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