借りたピアノ
■2015年7月21日 千葉県市川市
■ 機種:Érard 160
■ 製造番号:119997 (1929年製、フランス/パリ)
■ 部屋の広さ:不明 (非常に狭い)
音色は丸くて、音の粒がクリアではっきりしています。艶のある音です。
音色のバリエーションをたくさん作れます。
ちょっとしたタッチの違いで音色がごろっと変わるので、上手く行けばすごく立体的な音楽になるし、失敗すると出なくてもいい音が出てしまいます。
難しい…
響きに奥行きがあり、和音を弾くと厚みが出ます。
和音の構成音をはっきり聞き取れるので和音ごとの響きの違いやバランスの練習をしやすいです。
何声部もある音楽も声部ごとに聞き分けられます。
普通に弾いても内声が良く聞こえます。
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Érard
1777年、フランス/パリ
セバスチャン・エラールによって創業
現在は製造終了
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1777年、エラールは、最初のスクエアピアノをフランスのパリで製作します。
1789年、フランス革命によって店が破壊されると、1792年にロンドンへ拠点を移し、1796年までパリに戻りませんでした。
1800年代初頭、エラールはグランドピアノの設計の改良を始めます。
エラールは、いち早く巻き線を使用したり、ダブル・エスケープメント(鍵盤の連打がしやすくなる)、アグラフ(高音部の音をしっかりと止め音程を確かにする)などの多くの発明をしました。
1914年以降、エラール社の歴史は下降線をたどることになります。
世界大戦と大恐慌の影響だけではなく、ドイツやアメリカの「分厚い」ピアノの音が人気となったことも理由のひとつです。
1960年、エラール社はガヴォー社と合併、1961年には、ここにプレイエルが加わります。
そして1971年には、ドイツのシンメル•カンパニーがエラール、ガヴォー、プレイエルのブランドを買収します。
自国に伝統あるピアノ造りを継承するピアノ産業が無くなることを嘆いたフランス政府は、「ラモー」というピアノメーカーを設立しました。
1994年にラモーが、エラール、ガヴォー、プレイエルを買い戻し、「フレンチ・ピアノ・マニュファクチュア」という会社名となりました。
現在は、社名を「PLAYEL&Co.」として復活していますが、エラールは製造されていません。
ベートーヴェン(1770~1827)は5オクターブ半のエラールのピアノで、「ヴァルトシュタイン」や「熱情」を作曲(1804年)したとされています。
また、リスト(1811~1886)の「ラ・カンパネッラ」の改訂版は当時エラールのピアノでしか演奏できなかったといわれています。
ショパン(1810~1849)の、「エラールは何もかもがいつも美しく響く。だから美しい音を出そうと細心の注意を払う必要がない。」との言葉は非常に有名ですし、ラヴェル(1875~1937)の自宅には1905年製のエラールが残されています。