2017年5月11日

ハモる喜び

母親が使っていた楽譜は450円(しかも消費税のない時代)!
私の楽譜は1,030円(1,000円+消費税3%)。
今は1,296円(1,200円+消費税8%)で売られているようです。
どれも、全音楽譜出版社の青い楽譜のお値段です。


ピアノを習っている人なら、ほとんどの人が出会う教則本の一つに、『ハノン』があります。


フランスの作曲家、シャルル=ルイ・アノン(1819~1900年)が作曲しました。
『Le Pianiste Virtousite en 60 Eexecises』(技巧的に優れたピアニストになるための60の練習曲)。
練習曲とありますが、これは曲というよりは、手と耳のトレーニングのようなものです。
ハノンを極めたら必ずピアノが上手く弾けるのかと言えば、そんなことはありません。
音楽的な表現の練習にはなりませんし、譜読みの練習にもなりません。
ハノン前半は、機械的に音を上下するだけ。
ドミファソラソファミ レファソラシラソファ…
これぞハノンという感じです。


目的は、まんべんなく5本の指を鍛え、手首を柔らかく(正しい手の形で余計な力を入れない)、音の粒を揃えることです。
後半にまとめられている、音階やアルペジオは、絶対に必要なテクニックなので、ハノンの教則本をしていない人でも必ず練習するものです。

私がハノンを始めたのがいつだったのかは、はっきりと覚えていません(小学3年生くらい?)が、当時は「譜読みも簡単、弾くのも単純、この本はすぐに終わるわー!」なんて思っていました。
当時、ピアノで習うべき本当のことを知らなかった私は、一緒に習っている友達よりも早く次のテキストに進むことを何より大事なことだと思っていたのです。
ですので、ハノンに関しては特に目的もなく、ひたすら速く弾いていたりして。
そもそも、レッスンに持って行く為に家でちゃんと練習していたかも怪しいです。
だって弾くだけなら練習していかなくても弾けるし…とか思っていたような。

けれども、ハノンは、先生から一度合格をいただいたら終わるようなものではなく、繰り返し練習するものだったのです。
それも、ただ速く弾くことだけが大切なのではなく、きちんと聴いて確かめながら練習するのです。

今でも、指の使い方の確認や準備運動として、練習の最初に弾いています。
特に、腕や指が思うように動いていないと感じる時やピアノに馴染んでいないと感じる時には、1番から20番までを、いろんな速さ、いろんな強さで弾きこみます。
すると、手や指がシャキッと言うことを聞いてくれるようになります。

1番から20番までを丁寧にさらうと、それなりの時間がかかり、意外と体力も気力も使います。
ずっとオクターブのユニゾン(同じ音)で、上がって下がってを繰り返し…

20番を弾き終える最後の音。
ここでようやくドとミの音でハモります。
このハモりが心地よいこと!
ここまで頑張ったご褒美のように感じる瞬間なのです。


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