直前まで、会場をシンフォニーホールだと勘違いしていました。
危ない危ない。
指揮は準・メルクルさん、ピアノはニコラ・アンゲリッシュさん。
前半に、ファリャのバレエ組曲『恋は魔術師』 (1925年版)と、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」。
ピアノのアンコールは、ショパンの「マズルカ 作品63-2」でした。
20分間の休憩後、後半は、ストラヴィンスキーのバレエ組曲『ペトルーシュカ』(1947年版)。
すごいプログラムでしょ?
バレエ音楽とピアノを軸にした構成だったそうです。
ファリャの『恋は魔術師』では、メゾソプラノのソロが入る曲が4曲あるのですが、チラシやホームページを見る限り誰かが歌う気配はなく、どう演奏されるのか疑問に思っていました。
開演前にホワイエでちょっとした解説があり、「メゾソプラノはイングリッシュホルンで置き換えることが出来ると書いてある」とおっしゃっていましたが、私が持っているポケットスコアでは、そんな記載はどこにも見当たらず。
今回の演奏会では、イングリッシュホルンだけでなく、指揮者の準・メルクルさんの指示で、トランペット、クラリネットもメゾソプラノのパートを担当していました。
代奏の楽器には、もっと癖をつけてたっぷり歌って演奏して欲しかったです。
予習で聴いていたCDの歌手さんの歌い方が、結構図太くてドスがきいている感じだったので、そのCDに迫力負けです。
私なら、楽器で演奏するならサクソフォンを選ぶかなー。
でも、サクソフォンも元々この曲の編成には入っていないわけで、サクソフォン奏者をわざわざ呼んで来るならメゾソプラノ歌手を呼んで来れば良いし…
1音目から一瞬でスペインの雰囲気になることを期待し過ぎていたのか、現実的で日本人的な演奏でちょっと残念でした。
ピアニストのニコラ・アンゲリッシュさんは、とても大柄な方。
ラフマニノフ、もっと快活に演奏したかったんじゃないかな?と思いました。
とても自由でスピード感あるピアノだったのですが、オーケストラがついて来ていない感じがして、ちょっともどかしそうに見えました。
アンコールのマズルカの出だし、極上のピアニッシモ。
音量は弱いのに、すごいエネルギーを持った音でした。
このピアニッシモは、テクニックや集中力より、ピアニストのセンスのような気がします。
私も極上のピアニッシモを出せるようになりたいな…
ペトルーシュカは、「おもちゃ箱をひっくり返したような曲」と言われますが、割と片付いたおもちゃ箱でした。
とても良く整理された演奏、頭を使った演奏は割と好きな方なのですが、スッキリし過ぎて、ペトルーシュカのややこしい感が無くなるほど!
初めて聞いた人でも、曲の作りが見えそうな、わかりやすい演奏でした。
素晴らしい演奏会でしたが、ちゃちゃっと進んで欲しいところで縦がずれたり、ちょっともたついたり、逆に歌って欲しいところを素通りだったり、3曲とも私好みの演奏ではありませんでした…
自分の解釈と違う演奏は、発見が多く、とても勉強になります。
とっても良かった!全部良かった!というような演奏会よりも、いろいろと思うことがある演奏会の方が得るものは断然多くあります。
「嫌い」や「苦手」がわかれば、自分の「好き」や「得意」がわかるのです。