2017年10月7日

グリッサンドができるピアノに

ピアノの鍵盤が重くかたくて、何とかならないものかと悩んでいた時に出会った調律師さん。
浜松から滋賀県まで、ど田舎のピアノ好きのために来てくださることになりました。 調律に加え、整音と調整をしてくださいました。



定期調律は、毎年、地元の調律師さんにしていただいているので、ピアノ本体は良い年の取り方をしていると言っていただけました。

初めてこのピアノを触った調律師さんには、どんな風に思われるのだろう…
鍵盤はやはり、動きが悪いようで、「この鍵盤でグリッサンドをしたらケガをする」と言われてしまいました。
そうなんです。
痛過ぎて練習をしてこなかったので、私はグリッサンドが苦手なのです。

音色も雑音が混じっているようでした。

ダンパーペダルの調整から。
ここにも雑音があり、鍵盤下のネジを回すと雑音がなくなりました。
実はコンサート本番のピアノであっても、ダンパーペダルから雑音がしていることが。
気になり出したらそればっかり聞こえてしまうものです。
ダンパーペダルにまで気を回してくださる調律師さんは意外と少ないのでしょうか。

ダンパーペダルの遊びは好みの深さに調節でき、私は遊び部分を結構深くとってもらいました。

鍵盤の支点となっているところにも雑音があり、近くのネジを回して解消してくださいました。
結構いろんなところに雑音があるのですね…

鍵盤は、上に持ち上げて離したら自然と落ちて来るのが正常らしいですが、全く落ちて来ず上がったまま。
湿気の具合もあるのでしょう。
後で乾燥剤を吹きかけてくださいました。


驚いたのは、鍵盤を少し押し下げてクッっと止まるところから、さらに押し下げて弾くと音が出るようになったこと。


調整前はその状態から音は出なかったので、音が出るなんて知らなかったです…
弱い音が出せることは表現力の幅が広がるということです。


そして、ハンマーの高さを変えて、打鍵距離を短くしてくださいました。
打鍵から音が出るまでの反応が変わります。
これで連打のしやすさも変わってくるのでしょうか。




カクカクだった弾き心地がとてもまろやかになり、グリッサンドや連打が格段に弾きやすくなりました。

いよいよ整音の時間。
ハンマーに針を刺していきます。


涙がポロポロ落ちるような、柔らかくまろやかな音色。
音が飛び散らず、上品な音色です!
フォルテは深みがあり、そして極上のピアニッシモも出ます。
低音は鐘のように深く、コントラバスのように伸びやかに、高音はキラキラと華やかに、音域によって音色が違って、まるでオーケストラのようです。

調律師さん曰く、浜名湖の夜の星空をイメージした音色だそうです。

以前はピアノの主張が激しく、それに私が合わせてちょっと遠慮気味に真面目に弾く感じでしたが、今では、ピアノが私の呼吸を聴いてくれているようです。

弾き心地が変わり、音色が変わり、耳と手が新しいピアノに慣れるのに少し時間がかかりました。
昨日までは弾けなかったパッセージが今日は弾けたり、その逆もあったり。

今回は鍵盤の重み自体はほとんど変わっていないようなのですが(体感的には激変しています)、鍵盤の調整をすると、また一気に弾き心地が変わるそうです。
ハンマーには弦溝がついているので、ハンマーの整形も必要になるそうです。

調律師さんの力はすごい!
どんなピアノでも、調律師さんの手にかかれば、世界一のピアノに変身しそうです。

後日、お葉書を送ってきてくださいました。


SNSやメールの時代ですが、手書きの文章というのはやっぱり嬉しいです。

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