ブルクミュラー『25の練習曲』の最後の曲「乗馬」。
ブルクミュラーはドイツ生まれの作曲家ですが、『25の練習曲』はパリで作曲したためタイトルはフランス語で付けられています。
私が子供の頃は「貴婦人の乗馬」というタイトルでした。
今、全音楽譜出版社のブルクミュラー25の練習曲では「乗馬」というタイトルになっています。
なぜ「貴婦人の」という言葉がタイトルから消えたのか。
語学のだめな私でも、なんとなくフランス語のタイトルの中に貴婦人という言葉が入っていないのは想像がつきます。
このフランス語は単純に「乗馬」と言う意味の言葉なのでしょうか。
Google 翻訳のアプリで写してみると、タイトルのところに「騎士道」という日本語が出てきました。
乗馬はどこへいったの?
「貴婦人」という言葉が出てこないのは想像通りでしたが、まさか「乗馬」でもないとは…
音型がまさに馬が走っているように聞こえるのは、今まで「貴婦人の乗馬」と言うタイトルだと思って聞いていたためでしょうか。
chevaleresqueは「騎士道的な」という意味です。
「La」は英語でいう「the」にあたるものです。
これを定冠詞と言いますが、フランス語には性があり、男性名詞なら「Le」女性名詞なら「La」が使われます。
男性名詞のchevaleresqueに女性定冠詞のLaが付いているので、騎士っぽい婦人と考えることができるそうです。
貴婦人と騎士では全く曲の弾き方は変わってきます。
時代と音型を考えるとやっぱり最初のフレーズは乗馬なのでしょう。
タイトルに「乗馬」と書かずに、どう考えても乗馬をしている様子を連想させる曲調は素晴らしいです。
中間部の順次進行の旋律は、女性のお喋りのようにも感じられますが、どうやって弾きましょうか…
ウィーン原典版には、フランス語、ドイツ語、英語、日本語でタイトルが書かれています。
ドイツ語では「Im Tram(小走りで)」、英語では「Trotting(早足、小走り)」、日本語ではやはり「乗馬」と書かれていました。
ドイツ語と英語の小走りは、馬なのか人間なのか…
作曲家がつけた元のタイトルを置き去りにして弾くことはできないですね。