小学生の生徒さん。
変ホ長調のスケールとカデンツ。
聞いていると問題なく弾いていたのですが、手を見てみるとカデンツのⅡ7の和音を自己流の指使いで弾いていました。
他にも気になるところがあったので、その指番号も含めて、もう一度宿題にしました。
今週、もう一度弾いてもらうと、前回にきちんと弾けていたカデンツでつまづいてしまっています。
どうしたのかと聞いてみると、Ⅱ7の和音の指が届かないのだと。
いつも他の調のカデンツを楽譜通りの指使いで問題なく弾いていたので、何も気にせずに指番号を直しておいでと伝えてしまっていました。
楽譜の指番号は135になっていて、ほとんどのピアニストがそう弾くと思います。
前回のレッスンで、生徒さんは145の指で弾いてきていていました。
その指が弾きやすかったそうで無意識に変えていたようです。
それで楽譜通りの指使いに直したら弾けなかったとのこと。
白鍵と黒鍵の組み合わせによっては、手が十分に届かず弾きづらいようです。
私も子どもの時は同学年の子たちと比べて手が小さく、小学生の頃にはオクターブが届きませんでした。
楽譜にオクターブが出てくると思っているように弾けず、悔しい思いをしたこともたくさんありました。
それなのに、気付かず申し訳ない!
子どもに限らず、手の大きさ、指の長さ、開き具合や柔らかさ…
人それぞれです。
楽譜に書かれている指番号は、全ての人に最善のものではないかもしれません。
だから、自分でよく考える必要があります。
楽譜に書かれている指番号にも理由があります。
楽譜の指番号が弾きにくいと思った時は、弾きやすい指と良い音を天秤にかけて判断する必要があります。
良い音を出すためには弾きやすい指に安易に変えるべきではないことも多くありますし、届きづらくて満足に弾けない場合は仕方なく変えなければいけないこともあります。
子どもの頃に身につけたことは想像以上に深く残るものです。
大人の生徒さんのレッスンをしていると、不思議な指使いで和音を弾いている方がおられます。
恐らく子どもの頃に弾いていた指使いのままなのでしょう。
楽譜上はこう書いているけれど、自分はまだ届かないから違う指で弾いているのだということはわかっておいて欲しいです。