「まだ、私、最後まで話してないんだけど…」
「最後まで聞いてよ…」
レッスン中、アドバイスを話し始めたら、話の途中で弾き始める生徒さん。
私が説明のために音を出し始めると、数音聞いて弾き始める生徒さん。
話は最後まで聞きましょう。
音楽も最後まで聞きましょう。
伝えたいことを必ずしも最初に言っているとは限りません。
話の最後にとても大切なことがあるかもしれません。
話しはじめてすぐ、ここをこう直せば良いのかと弾き始める生徒さんがいます。
確かに、少しのことからたくさんのことを理解できるのは大切なことですし、話の先を予測することも大切です。
でも、そもそも本人が気付いていないから伝えていることです。
何度弾いてもらっても、改善して欲しいところが変わっていないことがほとんどです。
当たり前です。
話の出だしの「ここが」しか聞いていないのです。
どこを指摘されているかがわかっただけで、どう変えるべきかを聞いていないのです。
すごく真剣に話を聞いてくれる生徒さんもいます。
体ごとこちらの方を向けて、うなずきながら聞いてくれています。
そういう生徒さんは、質問の答えも的確です。
私が弾き始めたら、音を数音だけ聞いて弾き始める生徒さん。
実際に音を聞いて欲しいから弾いているのに、全然聞いていません。
他人の演奏を聞くことができない人は、自分の演奏も聞くことはできません。
まして、2人の演奏が重なった時には、他人の演奏も自分の演奏も聞けないでしょう。
そもそも2人の演奏がずれて重なった時点で相当不快な音楽になるのですが、そういう感覚も薄いかもしれません。
やっぱり聞いていないのでしょう。
よく聞いている生徒さんもいます。
演奏している時に、バスの音が弱いな…と私が少しバスの音を弾いて補強してみると、それを聞いて理解してバスをしっかりと弾き始める生徒さん。
テンポ感、フレーズの流れやブレスなど、隣で指揮者のように手を振ってみると、それに気づいて手の動きに乗ってくれる生徒さん。
たまにこういう生徒さんがいて、長々と言葉を使わずに済むので、効率よくレッスンが進みます。
せっかくレッスンに来ているのだから、たくさんのことを吸収して帰った方がお得だと思います。
それは、レッスン室で弾いた量ではなく、聞いた量です。