私が下を向いて書き物をしている時に、生徒さんが話しかけてきてくれました。
「先生~?ここがわからんのやけどー!」
ここってどこよ…
同じものを見ているならわからなくもないでしょうが、私は楽譜を見ていません。
「ここってどこ?」と聞いてみると、「う~ん?ここー」と言う生徒さん。
何度言ってもらっても、私が見ない限り「ここ」では通じません。
小節数で伝えたり、何段目の何小節目という言い方をしたりする必要があります。
そう伝えてくれれば、こちらもどこの話かわかります。
もしくは、言葉で伝えられないなら、その場所を見せにくるか、見に来て欲しいとお願いするか。
「ここ」では伝わらないということを理解する前に、そもそも伝わったかどうかも気にしていないのです。
そして、何がわからない?と聞くと「何かわからんのやけど」と。
それでは何に困っているのかわかりません。
「わからない」と言っているのですから、音や高さがわからないのか、長さやリズムがわからないのか…
それとも、きちんと弾けているのかどうかわからないということか…
こういう生徒さん、案外たくさんいます。
「ここ」とか「これ」とか、きちんと指定して伝えない生徒さん。
「何が」ということを的確に伝えない生徒さん。
そして、伝わったかどうかを全く気にしていない生徒さん。
これは一見、ピアノには関係ないように思えます。
ですが、私は、伝える力は表現する力に繋がると思っていますし、持っている語彙力は経験値や想像力と関係していると思っています。
そして、その時の相手や状況に合わせて適切な会話をするというような判断能力も、ピアノには必要な力だと思っています。
小節を学んでからは、私はレッスンで「7小節目と8小節目が…」というような伝え方をします。
小節数で会話をするようになったはずなのに、例えば、私が生徒さんに「今失敗したところはどこ?」という質問をした時に、「何小節目」と答えずに指で楽譜の場所を指す生徒さん…
きちんと「何小節目」という伝え方をしてくれる生徒さんは、私が「3段目の4小節目が…」とか言った時に、すぐに目がその小節にいきます。
ですが、いつも指差しで伝えている生徒さんは、そうはいきません。
「ここ」ではわからん…
何度も言うのですが、やっぱり「ここが…」と言ってくる生徒さん。
伝わっていないということは、私の伝え方も改善する必要があるということですね…