2016年12月8日

「耳」の話

日々考えていること。
ちょっと真面目な話…

ピアノという楽器は、「楽器の王様」なんて言われる、本当によく出来た楽器です。
ですが、弱点もあって、それは自分の楽器を本番に持って行けないこと。

毎日、家のピアノで練習して、練習して、練習して…
本番は別のピアノ。
もちろん、場所が変われば、自分の楽器を持ちこんで演奏する場合も、条件はほとんどピアノと同じですが。

家のピアノで完璧に仕上げて、本番で同じように弾いたら上手くいくなんていうことはありません。
場所や楽器が変われば、同じように手や足を動かしても、同じにはなりません。
同じように弾くためには、弾き方を変えなければいけません。
そして、たとえ同じに聞こえるように弾いても、それが最適で良い演奏とは限りません。

場所や楽器、その時に合わせて。
ピアノは耳で弾くのです。

ですから、鍛えるべきは「耳」なのだと思っています。
そして、その「耳」を活かすために、手や指、足の感覚、技術を磨いておく必要があるのです。

どう弾きたいか、よりも、その空間にどう聞こえさせたいか。
見た目が同じでも、実は中身が違うことは良くあります。

何年か前から、いろんなメーカーのピアノ、たくさんのピアノに触れたくて、出掛けた隙間にピアノ屋さんを覗いたり、ピアノの練習室を借りるのが趣味になりました。

初めて弾くピアノ。
弾いた瞬間は、そのピアノについていろんなことを感じます。
クセがあったり音色やバランスが独特だったり。

それでも10分も弾けば、多少の弾きにくさは残っても、そこそこ普通のピアノのように感じるのは不思議です。
そういう時、おっ!手が馴染んだ!と感じます。

恐らく、手が馴染んだとかいう単純なことではなく、こうすればこのような音が出る、出したい音を出すにはこうすれば良いのだ、と、身体中の感覚と耳がフル活動したのでしょう。

家のピアノで完璧に弾けるようにするのではなく、欲しい音を欲しい時に出せるようにするために、日々の練習があるのだと思います。
こういう音が欲しい時にはこういう出し方をするのか、こうやって持っていけばこういう音が出る…
ここでペダルを踏むとこんな響きになるけれど、ちょっと踏み方を変えるとこうなるのか…
仕上げることだけが目標ではなく、対策を講じておくのです。

昔、フランス人ピアニストさんのレッスンを受けた時、「ミミ~」「ミミ~」とひたすら言われ、楽譜に耳のイラストを描かれました。
フランス語のレッスンでしたが、「耳」だけ日本語。
それだけ音を聴くことが大事だと伝えたかったのでしょう。


改善すべきところを、「手の形はこうして~、指番号はこうして~」、と教えてくださるのではなく、とにかく「聴け!」と。
確かに、手や指の長さ、大きさ、形、柔らかさ…、そして体格、先生と私は同じではありません。
ですから、先生の指使いを真似して弾けば良いというわけではありません。
本人が考えるしかないのです。

出来ているかどうか、結局弾いている本人が確認するしかないのです。
聴くしかありません。

聴くことができなければ、これ以上の上達は永遠にありません。

おまけ。
新しくパンプスを買いました。
最近お気に入りのKIBERAというお店です。
久しぶりにヒールのパンプスです。


買ってから、こればっかり履いています。
最近はずっとぺたんこの靴でしたが、久しぶりにヒールのパンプスを履くとシャキッとします。

気に入ったので、このパンプスでピアノ弾いたら、踏ん張れません…
そのうち慣れるのですが。
事前に調整が出来るなら、環境を整えておくことが大事ですね。

【まごいち音楽教室】
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