ピアノの説明に「1本張り弦」と書かれています。
1本の弦の両サイドが、手前はチューニングピン、奥はヒッチピンに巻かれています。
中高音部になると、ほとんどのピアノが「ターン張り」という張り方になります。
ターン張りの場合、弦はチューニングピンから始まり、ヒッチピンで折り返してチューニングピンまで戻ります。
「総1本張り」は、中高音部の弦もヒッチピンに1本ずつ巻いていく弦の張り方です。
弦のねじれが無くなり、張力が不均衡になるのを防止でき、濁りのない音になるそうです。
弦を巻く本数が多くなりますので、1本張りの方が手間がかかります。
そのため、コストを重視した日本国内のメーカーは、ターン張りを採用するようになりました。
また、濁りよりも音量を重視したアメリカのメーカーも、早々にターン張りに変更しました。
ヨーロッパのメーカーは、1本張りを採用し続けてきましたが、技術の進歩もあり、現在はターン張りに変更していて、1本張りは、ベーゼンドルファーなど一部のメーカーしか採用していません。
国内では、ディアパソンの一部機種が1本張りを採用しているのみです。
ちなみに、調律の手間はどちらも変わらないそうです。
いろんなメーカーのピアノを弾きましたが、一体どちらだったのでしょう。
過去の写真から、総1本張りのピアノを探してみました。
FEURICH (フォイリッヒ)
1851年、ドイツ/ライプツィヒで創業のメーカーです。
Erard (エラール)
1777年、フランス/パリで創業のメーカーで、現在は生産していません。
機種は160、1929年製です。
Blüthner
(ブリュートナー)
1853年、ドイツ/ライプツィヒで創業のメーカーです。
高音部にアリコート(共鳴弦)と呼ばれる4本目の弦が張られています。
BRÜDER
MIKURA WIEN (ブリューダー ミクラ)
Bösendorfer
(ベーゼンドルファー)
1828年、オーストリア/ウィーンで創業のメーカーです。
低音が通常よりさらに9鍵盤多い(エクストラベース)、「インペリアル」と言われる機種です。
そして、ベーゼンドルファーのハンマーフリューゲル。
モーツァルトの時代のものだそうですので、当然、総1本張りです。
弦の張り方が違うピアノを用意して、弾き比べることはできませんので、実際音色が澄んでいるのかは、私にはわかりませんでした…