世界各国のあらゆる楽器が展示されている博物館です。
時間があまりなかったので、鍵盤楽器のエリアを中心に見ました。
ワルター、シュトライヒャー、ブロードウッドなどの19世紀の歴史的なピアノ。
エラール、プレイエル、ベーゼンドルファー、スタインウェイ&サンズなどの有名メーカーのピアノ。
スクエアピアノやジラフピアノの展示もあります。
展示品のほとんどが美しい木目。
デザインや装飾も素晴らしく、ピアノが高級な調度品でもあったことがよくわかります。
壁沿いのピアノは、ピアノの発展の歴史順に並べられていて、鍵盤を押してから音が出るまでの仕組みをアクション模型で勉強できます。
昔のピアノは、ペダルの本数や機能が違います。
鍵盤数が増え、連打ができるようになり、材質が変わり、大きな音が出るようになり…
このようにたくさんの歴史的なピアノを見ると、改良を重ねられてきたことがよくわかります。
楽器に触れることはできませんが、いくつかのピアノは、ヘッドホンで音を聴くことができました。
どの作曲家の曲も現代のピアノで弾くことができますが、当時の音色は全く違うものだったりして、音色が変われば曲の印象も変わります。
現代のピアノは、メーカーや機種による音色の違いはあっても、できることの違いはほとんどありません。
ピアノでこれが出来たら良いなということも思い付かないくらいなので、もう完成形のような気がしますが、これからもどんどん改良されていくのでしょうか。
電子ピアノや、自動演奏ピアノ、サイレント機能付きのピアノも、ピアノ発展の一部かもしれません。
普及しなかったり、他の方法で改善されたために無くなった機能もあります。
ダンパーが弦の下側についているピアノ。
現代ではこのようなピアノは見られません。
弦を上からハンマーでたたくピアノ(下方打弦式アクション)。
弦を下からたたくと、わずかに弦が浮き上がり不安定な音になってしまうそうで、それを防ぐために、弦を上からハンマーでたたくピアノが作られました。
しかし、他の技術でこれが解消されたため、現在の下からハンマーで弦をたたく方法が定着したようです。
クラヴィコードの解説を聴きました。
クラヴィコードは、16~18世紀頃によく使用されていた鍵盤楽器です。
ハイドン(1732~1809年、オーストリアの音楽家)のソナタの中にはクラヴィコードのために書かれた曲もあります。
四角く小ぶりで、楽器本体と脚を分けることができるので、持ち運びもできました。
教会のオルガニストが自宅の練習用に使用していたそうです。
ガイドのお姉さんが実際に演奏して聴かせてくださいました。
クラヴィコードの音は、耳をすまさなければ聞こえないくらい本当に弱くささやかです。
タンジェントという小さな金属片で弦を突き上げて音を出します。
鍵盤をを叩く強さによって音量を変えることができます。
鍵盤を押している間、タンジェントが弦を突き上げたままの状態なので、鍵盤を押す強さを変えるとビブラートをかけることができます。
フロアの一画で開催中の企画展は、「小さな可愛い世界旅行~人形・切手の楽器たち」。
小さな切手の中に音楽家や楽器が描かれています。
音楽や楽器が、芸術や調度品としてだけではなくて、生活に結びついたもので、文化の一部なのだと感じます。
ヨーロッパだけでなく、世界各国に音楽をモチーフにした切手があります。
今回は、時間不足と体力不足で、あまりゆっくり見られませんでした。
少し遠いけれど、定期的に行きたい博物館です。