鍵盤を押すとハンマーが動き、そのハンマーが弦を打ちます。
打たれた弦は振動して音が出ます。
弦の音はとても小さいので、弦の振動を響板が受け取り、響板が振動することによって音が増幅されます。
これが耳で聞いているピアノの音です。
弦の振動を抑え音の響きを止める役割をしているダンパー。
何もしていない状態では、ダンパーは弦の上にくっついています。
そのため弦が振動することができません。
鍵盤を押すと、このダンパーが弦から離れて弦が解放されるため、ハンマーに打たれた弦は振動して、ピアノの音が出ます。
鍵盤から指を離すとダンパーが弦まで落ちてくるので、ピアノの音が止まります。
ダンパーは、音を止める役割をしています。
どのタイミングでどんな音を出すか、音を出す瞬間はどの演奏者も気にします。
それは、鍵盤を押すタイミングや押し方のことです。
ですが、音を止めるのも弾く人の仕事。
鍵盤を離すタイミングや離し方です。
それは、ダンパーをどのように下ろすかということです。
ピアノの音は減衰していくので、音の最後の処理まで意識が行かず、おろそかになる人が多いです。
そもそも、鍵盤の離し方でダンパーを制御する必要があると思っていない人も多いですし、それを制御できることを知らない人もいるでしょう。
調律師さんには、ダンパーできちんと音を止められるように調整していただいています。
ダンパーに、演奏する人の意思がきちんと伝わるようにしていただいているのです。
どうやって音を止めるかによって、音楽は変わります。
ピタッと四角く止めるのか、だんだん細くなるように音を減らしていくのか。
音の切れ方、余韻。
空間に放たれた音の最後を聴くことで、音楽はとても良くなります。
音を止めるのも演奏のうちということを忘れないようにしたいですね。