2018年3月5日

強拍迷子

小学生の時、当時のピアノの先生が『子供の情景』のCDを貸してくださいました。

『子供の情景』は、シューマンが1838年に作曲した、13曲からなるピアノ小品曲集です。
大人目線の子どもの様子が描かれた作品で、それぞれに標題が付けられています。
どれも短く可愛い曲ばかりですが、弾きこなすためには高度な表現力が必要です。

第7曲には、有名な「トロイメライ」が入っています。
ちなみに、「トロイメライ(Träumerei)」は「夢み心地」という意味です。


先日、楽器屋さんへ行くと、ヘンレ版が20%引きで売られていました。
楽譜が割引になるのは珍しいことです。
せっかくだから何か欲しいなーと思いましたが、今必要な楽譜はなく…
シューマンの『子供の情景』『ユーゲントアルバム』を購入しました。


久しぶりに弾く「見知らぬ国と人々」(第1曲)。


第2曲の「不思議なお話」は、アウフタクトで始まる3拍子の曲です。


最初にCDで聴いた時、私には1拍目から始まる4拍子に聞こえました。
4拍子にすると、フレーズと小節のくくりがしっくりこず、ちょっとおかしいな…と思いながら毎回聴いていました。


その後、楽譜を見る機会があり、3拍子でアウフタクトということは知っていたのですが…

問題発生。
どうしても3拍子で弾けず、いつの間にか小節線がずれて4拍子になっています。
小節の頭をかなり強調して弾くと、どうにか3拍子に聞こえます。
1拍目は強拍なのですが、このわざとらしい拍子感…
困ったことです。

3拍子に聞こえないのは、弾いている私だけ?
普通の拍感で弾いたら、他の人にはちゃんと3拍子に聞こえているのでしょうか。

しかも、よく似た現象が、第6曲の「重大な出来事」でも起こっているのです。
拍子は3拍子で合っているのですが、アウフタクトの拍が1拍めだと思っていたので、1拍ずつずれる…


なぜそんな風に聞こえていたのか考えてみると、1つ思い当たることが。
子どもの頃、伴奏付けのレッスンで、先生が「アウフタクトの曲の時、はみだしたメロディの部分の左手には和音を付けず、休符にしておきましょう」とおっしゃったのです。
だから、最初から両手で弾く「不思議なお話」や「重大な出来事」は、最初の音が1拍目だと感じていたのではないでしょうか。
他のアウフタクトの曲は、きちんとアウフタクトで拍子も正しく聞けています。


楽譜を見てから何年も経ち、頭の中では正しい拍子に修正されていたはずなのに、身体の奥の方に残っている間違った拍子感。
子どもの頃の感覚、なぜか強烈に残っていることありますよね…

【まごいち音楽教室】
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