2018年4月17日

ベルリン・コーミッシェ・オーパー『魔笛』

兵庫県立芸術文化センターで、ベルリン・コーミッシェ・オーパーのオペラ『魔笛』を観てきました。
映像を中心に構成された新演出のオペラです。


テレビの特番で来日を知り、昨年の秋にチケットを購入、待ちに待ったオペラでした。


舞台上のセットは、真っ白な壁ひとつだけ。
そこに、世界的に有名な映像クリエイター集団「1927」が手掛けた映像が映し出され、音楽と映像が一緒に進んでいきます。


最初のシーンは、タミーノが蛇から逃げているところ。
高速で動く下半身の掛け足は映像です。
タミーノが走ると周りの景色も変わっていきます。


景色だけでなく、登場人物の様子や心情なども映像で表されています。

映像は歌手さんたちにはよく見えていないでしょうから、映像と合わせて動作をするところは、ずれないように何度も何度も調整されたのではないでしょうか。


セットの壁には、上の中央と上手、下の中央に扉があり、裏からくるりと登場することができます。 いくら固定されているとはいえ、高い所で歌うのはやっぱり怖そうです。

この『魔笛』には、もともと音楽がついていない台詞の部分があるのですが、その部分ではスクリーンに文章が映され、フォルテピアノでモーツァルトのピアノ作品「幻想曲」K.475、K.397が演奏されました。
ホールへ入った時に、何故オーケストラピットにピアノがあるの?と思っていたのですが、こういうことだったのですね。
なるほど、これが選曲、音色、演奏のテンポ、どれもぴったりでした。
モーツァルトが現代の魔笛で演奏する用に「幻想曲」を作っておいたのではないかと思うくらい…

このセリフ部分など、今回の『魔笛』の演出では無声映画を意識しているそうです。
確かに、衣装は白黒、メイクも白塗り、パパゲーノの帽子、無声映画っぽいです。

老婆に化けたパパゲーナが登場するシーンや、ザラストロの部下たちの合唱など、カットされているところがあり、テンポ感が良く、あっという間におしまい。

18世紀のモーツァルトの音楽に、無声映画を意識した演出、独特の世界観のアニメーションと現代の映像技術…
映像は常に動いていますし、情報量が多くて、思わず頭フル稼働で見入ってしまい、終演後には結構な疲労感でした。

『魔笛』は、モーツァルトが亡くなる直前に完成させたオペラ作品です(1791年、ウィーン/ヴィーデン・フライハウス劇場で初演)。
パパゲーノが歌う「Der Vogelfänger bin ich ja(俺は鳥刺し)」、夜の女王のアリア「Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen(復讐の心は地獄のように胸に燃え)」などが有名です。


音楽というよりは、新しいエンターテインメント。
なんとなく、今の時代にモーツァルトが生きていたら、この演出、嫌いでないだろうな…と思いました。

公演後にいただいたお土産の中身は、なんと普通に飴ちゃん!
電車の中で見て、一気に現実に引き戻されました…
ドイツの世界に居たのに、日本語で「お取り寄せ ジュース せとか」って…
美味しかったけど。


【まごいち音楽教室】
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