2019年7月30日

本を読みながらピアノを弾く

先日読んだ本に「リストは弟子に練習中、本を読むことを勧めたそうだ」「手だけでそのパッセージを練習すべきだ」と書かれていたので、やってみました。


本を読みながら、ひたすら手を動かす…

無理だったー!

手は動くけれど、本を読めません。
脳が音を拾うので文字が全然入らず。

何やってるんだか…
結局、有意義だったのかどうか全くわからない時間を過ごしました。


本の著者が言うには、技術的に難しいパッセージの場合は、心を無にして身体に任せる必要があるそうです。
音楽の練習がどれほど純粋に身体的なことであるか。
あるパッセージを15分練習してもすぐには効果は現れませんが、一晩寝ると弾けるようになっていることがあります。
技術というものは、心の無意識の部分が支配している時に効果を発揮するそうです。
そして、こうなった時に初めて、正しい音を弾くという困難に煩わされずに、音楽の他の側面に意識をまわすことができるのです。

確かに、弾くのに必死な時には、解釈や表現について構っていられず、とにかく正しい音を出すことに意識が行ってしまいます。
そこをクリアしておかなければ、音楽的な演奏は出来ないというのには納得です。
まず、正しい鍵盤に正しい指を持っていく為に、無心で練習しなければならないのです。

この「ピアノ・ノート」という本には、そうそう!それそれ!と共感できる部分や、納得できる説明がたくさんあります。
著者のチャールズ・ローゼンさんとは気が合いそう。
だから、本を読みながら練習するのも、やってみようと思ったのです。
常日頃から、えー?と思うようなことを言う人から「本を読みながら練習したら良いよ」と言われたら、ほんなわけないやろ!と突っぱねてしまいそうです。

技術だけの練習中に本を読むメリットは、身体が覚え込むまで何十回、何百回と繰り返し練習する退屈さを忘れさせてくれること。
どの本を読めば良いか、感覚や感情をあまり刺激しない、社会学や文学評論がお薦めだそうです。

読んでみた本は、養老孟司さん久石譲さん共著の『耳で考える ――脳は名曲を欲する』の、第一章「なぜ人は音楽で感動するのか」。
ちょうど目と耳と脳の関係について書いているところでした。


人間は視覚と聴覚など、2つ以上の感覚を連動させますが、動物には、そんなことできない。
動物のように単純な身体的動作として鍵盤を押すことができるようになってから、解釈や表情を加えれば、人間らしい音楽になるということでしょうか。

目だけは動くので進むのですが、内容が入っていないことに気付き、戻っては読み直しを何度も繰り返し…
結局、25ページほどしか読み進められませんでしたが、この本、面白そうなので、弾きながらじゃなく、きちんと落ち着いて読みたいと思います。

そして、本を読みながらピアノの練習。
もう少し頑張ってみます。

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