2019年12月2日

経験値と知識量と好み

物の見方や考え方は、その人の経験値や知識量によって変わるものです。
だから、同じ物を見ても捉え方は人によって違い、同じ人でも時期によって変わります。
ピアノの弾き方や楽譜の解釈、好きな曲も得意な曲もどんどん変わります。

曲との出会い方は大事です。
初めて触れる時の感覚は、初めての時一回きりのものです。
魅力的な出会いで興味を持てば、それから長い付き合いになるかもしれません。
曲のことを知らないせいで誤解や勘違いをするかもしれません。

もし、コンサートのプログラムに聴いたことがない曲がある時は、コンサートで初めてその曲に出会うのも良いと思っています。
素敵な出会いになるか残念な出会いになるかはわかりませんが、それも1つです。


既に知っている曲なら、できる限りの予習をして行くようにしています。
どれだけその曲を知っているかで、そのコンサートで得られるものが違ってきます。

聴いたことがある曲なら、曲のエネルギーと一緒に進むことができます。
弾いたことがあれば、曲と一緒に歌い、たくさんのことを聴きとることができます。
弾き込んで研究した曲なら、この人はこういう演奏をするのか!と、更に深い次元で聴くことができます。

自分の演奏する時の参考にしようと思っても、聴いたことがある程度では、私はほとんど何も収穫できません。
弾き込んだ曲だからこそ、何を聴けば良いかわかるし、そのピアニストがどう弾きたいのかも聴き取れます。


弾いたことがある曲が増えて、以前とはコンサートの選び方も聴き方も変わりました。

数年前に聴いた時は、ただただ、凄い!素晴らしい!の連続だったのに、自分が練習した後に聴くと、同じピアニストさんでも、こんなのだった?と思ったり。

それに、好みの弾き方をするピアニストさんだと思っていたのに、音色も弾き方もまるで別の人のようになっていることもあります。
ピアニストさんの弾き方が変わったのか、私の耳や好みが変わったのか。

勉強すればするほど、自分の好みと一致するコンサートが減っていくのは当然で、仕方ないことです。
自分が満足する最高の完成形は自分の中にしかなくて、でも、残念ながらそれは自分では作り出せない…
だから、ずっと勉強や練習を続けられるのかもしれません。

【まごいち音楽教室】
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