2020年4月21日

選択肢いろいろ

オンラインレッスンも流行りつつありますが、ピアノのレッスンは対面でしたいという気持ちがあります。
特に子どもならば、耳を育てる期間に、電子音を聞きながら過ごすのではなく、自分の音、他人の音を、生の音できちんと聴いてほしい。
自分の出した音を聴いている人はどんな反応をしているのか、空気を読み取る力も必要です。
気に入らなくなったらスイッチをオフにすればさようならできる環境、それが良いとは思えません。

そう思う一方で、オンラインレッスンを取り入れて行くべきかと思うところもあります。
時代の変化ですから、仕方ないことかもしれませんし、こういう便利な物は使いようです。
何もアコースティックなことが一番ではありません。
私も大学生の頃には、電子ピアノとパソコンを繋いで楽譜を書くようになりましたし、DTMにも少し手を出したこともあります。
ライブでキーボードを弾くこともありましたし、電子音源と一緒にピアノを演奏したこともたくさんあります。

けれど、結局クラシックのピアノに戻ってきたのは、このアコースティック感が好きなのでしょう。
そして、その時々の環境や偶然によって演奏が変わる楽しさと難しさに惹かれているからだと思います。
いつまでも完成することはなく、また、二度と同じことは起きません。
電子音で音楽を作ろうとすれば、「これで完成」という自分の理想を組み立てることが可能ですし、同じ演奏を何度でも繰り返すことができます。
直したいところだけを切り取ってやり直すことも可能ですが、それはもう「演奏」ではなく「操作」「作業」です。

音楽は、時代の流れとともに変化してきましたし、これからも変わり続けるでしょう。
演奏会に行かなくてもYouTubeで演奏を聞くことができ、レッスンもオンラインで行う。
生音で音楽に触れる機会というのが無くなっていくのでしょうか。
人の感覚も変わっていくものですので、もしかしたら、アコースティックなものよりも「完成された電子音」の方が魅力的になる日が来るかもしれません。
私にとっては、少し寂しいことです…

アコーステイックな方が価値が高いとも限りませんし、何事もデジタル化することが最適だとも限りません。
例えば、楽譜を書く時、とても単純な時や繰り返しが続く時はパソコンで書いた方が早いですし、整った美しい楽譜を渡したい時はパソコンで書きます。
デジタル化していれば、データですぐに渡すことも可能です。
それが、複雑になったり規格外のことが起こるような場合は、手書きの方が圧倒的に早く書けますし、ピアノを弾きながら試行錯誤するならば、譜面台に五線紙と鉛筆を置いて書く方が早いです。
音楽に限らず手作業の方が早いことはたくさんあります。

対面でのレッスン、動画の送受信でのレッスン、オンラインレッスン…
選択肢がたくさんあるのは良いことです。
その中から自分に必要な物をきちんと判断できるように。
常にそういう自分でありたいと思います。


【まごいち音楽教室】
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