単純な指の練習曲を、メトロノームに合わせて来ましょう、という宿題。
別にメトロノームを見る必要はありません。
カチカチと音が鳴りますから、それと自分のテンポが合うように弾けば良いのです。
ある生徒さん。
メトロノームに合わそうとすると、どうしても合いません。
少しずつ遅れていってしまい、気が付いて追いつこうとすると、今度は追い越してしまって、メトロノームより速くなってしまいます。
そして、またゆっくりにして遅れてしまい、それの繰り返し。
テンポは揺れに揺れ、合わすことに意識が行き過ぎて、弾く方もおろそかになってしまいます。
メトロノームでは合わないのに、私が隣で手を叩いたりカウントしたりする時には、しっかり合わせてくれます。
テンポを取るために手を叩く時は、お猿のシンバルのような直線の動きではなく、必ず円を描くようにして叩きます。
そうすることで、次の拍の打点に向かうエネルギーを感じられます。
そのエネルギーに乗ることができれば、拍が合うようになります。
メトロノームの拍と拍の間の動きを感じずに、拍の頭にだけ合わそうとするから合わなくなるのです。
カチッと鳴る音に合わせるだけなら、それは反射神経ゲームです。
拍と拍の間の動きを感じること。
メトロノームに合わすのではなく、メトロノームと一緒に演奏しましょう。
メトロノームは淡々と拍の音を鳴らすことしかしてくれませんが、それでも手を繋いで横に並んで一緒に歩くのです。
次の週、「メトロノームちゃんと仲良くなってきたで!」と、生徒さん。
まずメトロノームの音を良く聴いて、同じ速度で弾く準備をしてから一緒に演奏すると、ピッタリ合いました。
呼吸が合えば、音楽は必ずピッタリと合います。
息が合う人、テンポ感が同じ人と一緒にいると、とても居心地が良いですよね。
メトロノームと友達になりましょう!