ピアノを始めてまだ間もない生徒さん。
4の指(薬指)で弾くところを、5の指(小指)を使って弾いています。
弾かなければいけない音が遅れないように、とっさに出てくる指が、薬指ではなく小指なのです。
ピアノを長く続けていくと、どの指も必要に応じて何も気にすることなく使えるようになるものですが、この生徒さんの薬指は、まだ無意識で使える指にはなっていないのです。
薬指を動かすためには、頭からきちんと指令を出さなければいけません。
少しでも慌てたり、楽をしようと思えば、薬指よりも出しゃばってくる指があるのです。
薬指は、5本の指の中で一番存在感が薄い指かもしれません。
小指も弱いですが、端っこにあるので、薬指よりは出しやすいです。
日常で薬指でなければいけない場面があるのでしょうか。
とにかく、生徒さんには、薬指の存在を脳に認識してもらうことが必要です。
今日から、人差し指の代わりに薬指を使ってあげて。
テレビのリモコンのボタンを押すのは、薬指。
何か摘まむ時は、人差し指と親指ではなくて、薬指と親指で。
ゲームも薬指で頑張ってな!
そんなことを言って笑いながら、自分が子どもの時のことを思い出しました。
小学生の時、三度の重音が綺麗に揃わないのは小指が弱いからだということに気付いた私は、電気のスイッチや引き戸の開け閉めを小指でするようになりました。
人差し指で何の問題もなく弾けるのは、たくさん使って強いからだ、同じように5の指も使えば強くなるはず…
本当はピアノの練習できちんと正しい使い方をして鍛えていくのが良いのですが、小学生の私が思いつくことは、それくらいしかありませんでした。
当時は真剣です。
生徒さんには半ば冗談ですが、私が考えることは子どもの頃も今も同じということなのでしょうか…