ブルクミュラーの「清らかな小川」。
とても丁寧に弾いていて、右手親指のメロディもきちんと出ているし、クレッシェンドもよく付けています。
練習を始めた頃はトゲトゲしかった音色が、まろやかで済んだ音になりました。
でも、まだまだ改善点はたくさんあります。
本番の日が近づいてきています。
そろそろ仕上げの速さについて考えなくてはなりません。
そして、丁寧過ぎて少し重ための弾き方も変えていきたいところです。
まずは距離感。
全体的にゆったりゆったり、顔面すぐ近くの水を見ているような距離感で弾いています。
もう少し遠く、流れが見えるような距離で弾けると良いのですが…
そして速さ。
お家でも、テンポアップと言われているそうですが、きちんと弾こうとすれば、なかなか速さは上がりません。
全ての音を丁寧に正しく出す練習も必要です。
ですが、曲によっては、慎重に弾くことがいつもプラスになるとは限りません。
演奏者が一つずつ押し出すのではなく、音楽に乗ってほしいです。
遠くの小川、強弱はピアニッシモ。
その二つを表現し易い速さで弾いてみてと言うと、少し速度が上がりました。
どう?と聞いてみると、良い感じと答えてくれました。
決して無理に速度を上げたわけではありません。
きちんと曲のことを理解すれば、自ずと速さは決まってくるのかもしれません。
ですが、距離感はまだ変わりません。
もし、小川の水そのものを表現しているなら、小川がある風景全体を想像して弾いてみてと伝えてみました。
タイトルは「清らかな小川」ですが、景色全体の中には、空があるでしょうし、草木もあるでしょう。
もしかしたら鳥や動物がいるかもしれません。
手の何を変えるわけでもなく、頭の中の想像を変えるだけです。
すると、良い感じの距離感になり、音も開放的になりました。
とても聞きやすい演奏。
中間部も同じ景色?何か変わる?と聞くと、少し考えて「う~ん、もう一回弾いてみていい?」と。
弾きながら、景色を見ているのでしょう。
とても良いことです。
そして、戻って来たところは?
それは最初と同じ場所かもしれませんが、戻って来た時には初めに弾いた時とはもう景色が変わっているはずです。
少しの想像の変化が、大きな音楽の変化になりました。
演奏者が何を表現しようと思って弾いているか、それが音楽表現にはとても大切で大きな問題だということです。
この生徒さんは、この曲を弾くための技術力としてはまだ不完全なところがあります。
でも、想像力には技術力をカバーする力があるのかもしれません。
全日本ジュニアクラシック音楽コンクール本選、通過しました!
おめでとう!
講評には、曲の流れの表現が良かったと書いていただきました。
心配だった技術面も、メロディ、バス、ハーモニー、それぞれの役割がしっかり見える演奏だと書いていただきました。
最後は東京ですね。
応援しています!