指の体操のようなテキスト。
単純な音形の繰り返しが主で、譜読みは特に難しいわけではありません。
繰り返しがあるので、1回目と2回目で強弱を変えて弾いてもらいました。
強弱は生徒さんに決めてもらいました。
1回目がピアノ、2回目がメゾピアノ。
弾いてもらいますが、あまり強弱に差があるように聞こえません。
あまり違いがわからないのだけど?と言うと、生徒さんはきちんとやっている!と言います。
いくら演奏者がやっていると言っても、音として伝わらなければ意味がありません。
もう少し大げさに違いを出してみてと伝えました。
1回目、弱めの音で弾き、そして2回目、やっぱり弱い音が出ています。
何なら2回目の方が弱くない?
生徒さんに、ピアノとメゾピアノと、どちらがより弱いのか、聞いてみました。
すると、生徒さんはメゾピアノの方が弱い、と。
なるほど、そこに問題があったのですね。
メゾ(mezzo)は、「やや~」といい、付いた言葉の意味を弱めます。
フォルテ(強く)がメゾフォルテになると、やや強く。
ピアノ(弱く)がメゾピアノになると、やや弱く。
「やや」という言葉はこの生徒さんには少し難しい言葉なので、「少し」に変えてみました。
「弱く」と「少し弱く」は、どちらの方が弱い?
そう聞くと、生徒さんは、「少し弱く」の方が弱いと答えました。
「弱く」にさらに「少し」という言葉が付いているので、もっと弱くなるのだと思ったのでしょう。
「風邪をひいています」と「少し風邪をひいています」は、どちらが元気?
「痛いです」と「少し痛いです」は、どちらの方が痛い?
どちらがどうで、質問はどうなっていて、答えは何なのか。
日本語って、難しいですね。
楽譜に書かれていることを理解するためや、レッスンの内容を理解するために、日本語を理解する力が必要ですね。