発表会に向けて、曲を決めて練習が始まりました。
いつものレッスンよりも少し背伸びをした曲。
自分で決めた曲だからか、いつもと雰囲気が違うからか、普段の宿題よりもたくさん練習してきた生徒さん。
発表会で弾く曲は、基本的にいつも使っているテキストの中にはない曲を選んでいただくようにしています。
弾いたことがある曲には各々いろんな記憶が詰まっているでしょう。
どんな風に練習をしたか、レッスンで何を言われたか、練習をしていた時のこと…
レッスンでは、いろいろとアドバイスをします。
同じ曲で同じような(あまり良くない)弾き方をしていても、全員に同じように指摘するわけではありません。
ある生徒さんには言うでしょうし、ある生徒さんには言わないかもしれません。
全体的なバランスからこのままの方が良いか…となったり、その生徒さんにとって今そこが問題ではない、今するべきことではないこともあります。
姉妹でレッスンに来ている生徒さん。
テキストの先に進んでいるお姉さんが、妹さんのレッスンで宿題の曲に丸をした私に「先生、何でそこ直さんの?」と聞いてくれました。
お姉さんに注意したことと同じ弾き方を妹さんがしているのに、指摘せずに合格にしたので、聞いたそうです。
よく覚えてくれていますし、よく聞いています。
本当はお姉さんにアドバイスしたように整えるのが良いと思います。
同じ弾き方をしていますが、お姉さんのきっちりとした弾き方だと気になるけれど、妹さんの勢いのある弾き方だとそんなに気にならない…
弾き方を変えることで、妹さんのせっかくの勢いがなくなるのは勿体ない…
ですから、私は、妹さんの弾き方を変えませんでした。
一週間から数週間で終わるようなレッスンの曲でなく、発表会のように何週間もかけて仕上げる曲なら、直していたでしょう。
誰かが弾く同じ曲が、自分がレッスンで合格した仕上がりと違うことがあります。
自分が弾いたのと同じ曲を他の人がどうやって弾いているか、それを知るのはとても良いことです。
ですから、他の人の演奏を聞く機会は多い方が良いです。
そういう演奏もあるのだ、それも良いね、そう思ってくれる生徒さんは良いですが、あの子の演奏のあそこがおかしかったと、だから下手だったと、そればかりを思ってしまう生徒さんもいるかもしれません。
ある程度の年齢の方や、経験があれば問題ないと思います。
ですが、ピアノを始めたばかりの小さな生徒さんには、その分別はつかないでしょう。
単純に、たくさんの曲を知ってほしいという思いもあります。
せっかくなら、レッスンでは弾かない曲を…
凄く気に入った曲があって、どうしても舞台で弾きたい!という強い思いがある場合のみ、レッスンで習った曲をOKにしています。
毎年一人くらいは、これを絶対に弾きたい!という生徒さんがいて、できれば違う曲にしない?と、何とか説得を試みています…