レッスンを初めて割と早い段階で覚える「スラー」という記号。
スラーはいろんな意味を持ちます。
音楽のまとまり、フレーズを意味することがあります。
時には、音を繋げるか離すか、ピアノの奏法を示していることもあります。
弦楽器なら弓の上げ下げに関わる記号です。
管楽器においては、タンギングをするかどうかの指示であったりもします。
さて、中学生の生徒さん。
彼女は吹奏楽部で楽器を吹いています。
ピアノのレッスンで弾いてくれた曲は、音はきちんと読めていますが、細かなところが曖昧です。
特にスラーの切れ目の場所は曖昧になっています。
これが吹奏楽でのパート譜だったら、さすがにもっと気を使って読んで吹いているんじゃない?
スラーの間は必然的に息継ぎができませんし、タンギングは口の中を動かす行為です。
ピアノでは気が抜けてしまっても無意識の領域で出来てしまうことも、管楽器の場合は、頭から指令をきちんと出さなければできないことかもしれません。
音が減衰してしまうピアノにとっては、スラーというのは本来とても難しいことです。
同じ音量のまま次の音に渡すことができないので、スラーかどうかというよりは、美しくスラーに聞こえるかということの方が大事かもしれません。
でもそれ以前に、やはりまず楽譜を正しく読み取らなければなりません。
意思をもってスラーで演奏することが大切なのです。
そして、ピアノの演奏において、例えば管楽器だったらどのように演奏するだろう…と想像することは、とても役に立ちます。
息継ぎや音の抜き方、音が高くなったり低くなった時のテンションや圧のようなもの。
吹奏楽をしていなくても、小学校のリコーダーでも十分です。
指を動かして鍵盤を押せば音が鳴ってしまうピアノ。
楽譜を見て指を動かすだけなら、それはただの運動になってしまうかもしれません。
音楽的な自然な息遣いや歌い方ができると、更に素敵な演奏になるでしょう。