2017年1月27日

≪まごいちピアノ日記 No.006≫ PREYEL (GP)

ショパンが好んだ、プレイエルのピアノ。
長野県にプレイエルを置いている所があると聞いていましたが、ちょっと遠い…
東京で探してみると、プレイエルを弾ける練習室がありました。


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PREYEL
(Pleyel et Cie)
1807年、フランス/パリ
イグナツ・プレイエルによって創業
2008年にUP、2013年にGPの生産停止
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現在はもう生産されていないプレイエル、経営は紆余曲折です。

1807年、ピアノ会社を設立したイグナツ・プレイエルは、当時の有名な作曲家でした。
会社が成長すると、息子のカミーユに経営を任せます。
1855年には、カミーユの義理の息子 オーギュスト・ヴォルフに引き継がれ、1887年にはヴォルフの義理の息子 ギュスターヴ・リヨンに引き継がれました。

1910年には年間3,000台ものピアノを生産するようになりますが、1961年、経営難に陥ったプレイエルは、エラールとガヴォーの合併会社と合併し、この会社は1971年にドイツのシンメル社に買収されます。
その後、フランス国内でプレイエル、ガヴォーの技術者を集め、「ラモー(Rameau)」というピアノメーカーを設立。
1994年にラモーが、プレイエル、エラール、ガヴォーを買い取り、その2年後にプレイエルは再び経営権を取り戻します。

経営不振などから2000年代に入ると受注生産となり、2008年にアップライトピアノ、2013年にグランドピアノの生産を停止しました。


借りたピアノ
■2014年8月11日 東京都江東区
■機種:PREYEL P190
■製造番号:267 902 (2000年代以降製造)
■部屋の広さ:不明 適度な広さ

借りた練習室のプレイエルは、とても明るく表情豊かなピアノでした。
弦の音が聞こえた後、響板からの響きが聞こえ、その2つは一体化していないようで、最終的には上手く混ざり合っています…

響板からの響きには角がないので、少々きつく当たってしまっても、一瞬後にはまろやかになります。
勝手に良い音に変わるので、上手くなったかのような錯覚です。

音域によって、発音した瞬間の音色が違います。
高音域は明るくて瞬発力のある音、中音域は柔らかめで一歩引いた感じ、低音域は倍音がよく鳴り音色が豊かです。

プレイエルといえば、ショパン。
ショパンは、「体調が良く、自分の音を探究する体力があるときは、プレイエルのピアノを弾く」と言っています。
僅かなタッチの違い、繊細で微妙なニュアンスの違いを表現できたプレイエルに、ショパンは思い入れがあったのです。


「英雄ポロネーズ」を弾いてみました。
この曲のテーマは、旋律(高音域)、和声(中音域)、ベース(低音域)の3つのパートに分かれています。
楽譜通りに正しく弾くと、パートごとに違う音色が出て、勝手に表情がついていきます。
すごく面白い!
ショパンは、「英雄ポロネーズ」をプレイエルで作曲したのでしょうか。

借りたピアノの詳しい製作年はわかりませんが、現代のものです。
ピアノが自然と良い音、良い音楽に仕上げてくれるということは、きっと、現代のプレイエルはショパンの頃のプレイエルとは全然違う楽器になってしまっているのでしょう。

それでも、プレイエルは、音色の変化が豊富で、弾いていてとても楽しい素敵なピアノでした。

【まごいち音楽教室】
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