「公開録音コンサート 上野真ピアノ・リサイタル 月の光…1927年製エラールへの誘い」を聴いてきました。
使用されていたピアノは、1927年製のエラール。
ドビュッシーが1862~1918年、ラヴェルが1785~1937年ですので、当時の現役ピアノです。
まろやかな甘い音でした。
まさに音色も音楽もフランス語。
上野真さん、初めて聴きました。
とても素晴らしい演奏をされる方です。
音色のバリエーションが多彩で音楽は立体的。
上からな言い方で本当に失礼ですが、とても耳が良い方です。
アンリ・バルダさん、エル=バシャさん以来の衝撃リサイタルでした。
完全に計算し尽くされたようなドビュッシーとラヴェルの演奏を聴いたのは初めてです。
衝撃だったのはドビュッシーとラヴェルの違い。
常日頃、何かと「フランスもの」とくくってしまいがちですが、ドビュッシーとラヴェルは違うのよ!って。
ドビュッシーは空気(気体)で、ラヴェルは粒(固体)。
ドビュッシー、濁るから…とペダルを踏み替えたくなる所をあえて踏みっぱなしにすることで出来上がる音色があるのですね。
それは、もしかしたらエラールのピアノだから出来ることなのかもしれません。
何となく横の雰囲気と縦の響きで弾く音楽のように見えて、ちゃんとそれぞれ声部があって、それらが絡まりあって独特の色になっています。
ラヴェルは、一粒一粒を大切に。
個々の集合。
どう編み込まれていてどんな色になっているのか。
遠くから見たら美しい布で、近づくと実はしっかり編み込まれている、そんな演奏でした。
アンコールは、ラヴェルの「水の戯れ」。
エラールのエクストラベース(最低音にさらに2鍵多い)を使う曲を弾いてくださいました。
これはアンコールなので、少し気軽に弾かれていたように思います。
私は、ドビュッシーよりもラヴェルの方が好みですが、今日の演奏はドビュッシーの魅力の勝ち!
ドビュッシーを弾きたくなったので。
私もそう弾きたい!って思わせる演奏ってすごいですよね…
それから、プログラムノートの内容、非常に考えさせられるものでした。
CDが発売されたら買います。