2017年4月30日

≪まごいちピアノ日記 No.024≫ Sauter (GP)

1819年創業のザウターは、現存する古い歴史を持つピアノメーカーの一つです。


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Sauter
1819年、ドイツ/シュパイヒンゲン
ヨハン・グリムとカール・ザウターによって創業
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創業者のヨハン・グリムは、ウィーンのピアノ製作者シュトライヒャーのもとで、技術を学びました。
1819年に修行を完了すると、グリムは故郷である南ドイツのシュパイヒンゲンに戻り、養子(甥)のカール・ザウターとともに工房を開きました。

ヨハンとカールは、会社の将来は生産規模の拡大にかかっていることに気付き、数人の地元の職人とチームを結成して仕事を分担することにしました。

生産工程を近代化したザウターは、1984年に新しく工場を開き、生産速度を上げるための機械を導入しましたが、今もなお伝統的な手作業にこだわって多くの部品を作っています。



借りたピアノ
■2015年7月21日 東京都足立区
■機種:ザウター 185chip
■製造番号:78408 (1980年代製造)
■部屋の広さ:52.4㎡ (天井高さ4m)

ザウターのピアノの中を覗くと、フレームの面積が小さい!
必要最小限のフレームしか使っていないようです。





木の音が聞こえる素朴で温かみのある音色でした。

普通に弾くと、低音は太くてごつい弦の音がしますが、中音域になるにつれて柔らかい音になり、高音域になるとカツカツした音になります。
低音の支えは太くて丈夫です。
広音域で弾くとすごく豪華な厚みになります。

音の立ち上がりから響きまでの音色の変化があまりないので、レガートで弾きやすいです。




ザウターの設計思想は、「響板を薄くすることによってより響きやすくする」ということで、ベヒシュタインと正反対の考え方です。
響板をできる限り薄くし、かつ球状に膨らませる事によって、ボリュームがあり開放的な音色にしているそうです。
一般的には、ピアノの響板は中心に行くほど厚みがあるように作られ、その厚みは7~10㎜ですが、ザウターは8㎜の均一の厚みです。

また、響板からフレームまでが高く、鋳鉄の内側はU字状に凹凸が作られています。
この凸凹の溝は、音色効果だけでなく、弦の張力を歪みなく支えてフレーム全体の強度を増すことにもなるようです。

ザウターは、アップライトピアノのための「R2 ダブル・エスケープメント・アクション」を開発しています。
これにより、グランドピアノ並みの連打を可能にし、グランドピアノとアップライトピアノとのタッチの差をなくすことができるそうです。

最高級の技術力を活かし、プリぺアドピアノ(弦に、ゴム、金属、木などを挟んだり乗せたりして音色を変えて演奏する)のために書かかれた曲を演奏しやすいグランドピアノや、微分音(半音よりさらに細かい音程)のピアノを開発したりもしています。

【まごいち音楽教室】
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