集合時刻よりかなり早く着き、「歴史資料館」というお部屋を見せていただきながら待ちました。
ハンマー、鍵盤、弦の材質の変遷を見られるパネルや、クリストフォリ(ピアノの発明者)製作のピアノの復元、昭和3年製作のカワイピアノの第1号などが展示されていました。
「昭和型」と呼ばれるアップライトピアノは、河合小市が製作した鍵盤が少ない小型のピアノです。
価格は350円。当時の国産ピアノの価格は650円以上だったそうです。
ハンマーフリューゲルの復元モデルは、実際に演奏して良いとのこと!
1795年頃、ウィーンでアントン・ワルターによって製作された楽器を復元したものだそうで、モーツァルトの時代はこのようなピアノです。
通常、ペダルは足元にあってつま先で踏むのですが、鍵盤の下にあり、膝で押し上げるようにしてペダルを操作します。
時間がたっぷりあったので、特別に、Shigeru Kawai SK-2を弾かせていただけることになりました。
早く着いて良かった!
本当にダイナミックで、まろやかな音色と弾き心地でした。
13:00から見学開始。カワイピアノの歴史や、グランドピアノの中身の説明から始まりました。
響板、鍵盤に使われるのは、アラスカ産のスプルース。
響板には、地上6〜20mの部分で、木目がまっすぐ通っていて節(ふし)がない樹齢150年以上の物しか使えないそうです。
グランドピアノの各部分を説明してくださいました。
弦は230本。
響板の説明では、おなじみのオルゴール。
鍵盤蓋を取り外し、鍵盤下の両端のネジを緩めて拍子木を取り外します。
拍子木を止めるネジは、通称ミッキー(ミッキーマウスに似ているから)というそうです。
口棒を取ると、鍵盤の機構を取り出せます。
何だか黒いなぁと思ったら、アクションの一部(結構たくさん)が樹脂製でした。
音色に関係ないところは、コスト重視ということでしょうか。
説明のあと、いよいよ工場内へ。
工場内は写真禁止。ガイドのお姉さん、とっても雰囲気の良い方でお話もとてもわかりやすかったです。
少人数だったので何でも近くで見られ、その場で質問も受け付けてくださいました。
同じグループの方の質問がとても的確で、勉強になる楽しい見学でした。
国内のカワイピアノ工場は竜洋工場のみで、ピアノの生産ラインでは約100名の方が働いていらっしゃるそうです。
1日の生産台数は、グランドピアノ約20台、アップライトピアノは約40台。
作ったピアノのほとんどが国外へ輸出され、輸出先は、アメリカ、中国が多いそうです。
グランドピアノの側板は薄い板を何枚も貼り合わせて、熱で曲げます。
響板の厚みは10㎜ほど。フレームは富山県で作られた物を仕入れるそうです。
弦は20種類くらい使い、国産またはドイツ製。
機械化されている工程もありますし、組み立てたり調整したり磨いたり人の手でやらなければいけない作業もたくさんあります。
同じ作業工程を経ても、自然の木材を使って作られた物なので1台1台個性があって、それぞれに最適な調整をしながら作られています。
最後には、人間の耳と手で、立派な楽器として仕上げられます。
見学の最後に、Shigeru Kawaiを弾かせていただいた試弾室へ。
購入前の試弾では、たくさんのピアノの中から選ぶのではなく、同じ機種で2台を弾き比べるのだそうです。
木で作るものなので元々の個体差はあるものの、調律師さんの加減で音色やタッチを変えることができるので、好みの音の方向性を決めるのだそうです。
同じ機種の2台をスタッフのお姉さんが弾いてくださり、聴き比べました。
その時は、右側のピアノの音色がいいなーと思ったのですが、その後に見学者の男性が弾かれた時には、左側のピアノの音がいいなーと思いました。
それだけ、タッチの違いで音色の差が出るということだと思いますし、ピアノ本来の良い音を引き出すのも簡単ではないということだと思います。
お土産に、カワイ90周年限定パッケージ(非売品)の源氏パイと、カワイピアノのハンマーをいただきました。
年に1回くらいは訪れたい楽しい場所でした。