「ショパンはピアノ以外の曲は作っていない」
子どもの頃、ピアノの先生からそう教えられていたのに、本屋さんでこんな本を見つけてしまったのは高校生の時。
歌曲もあるんやん!
ショパンが歌曲を作っているとは、思わずCDを探して聞いたほどの衝撃でした。
大人になってから、ショパンのマズルカを勉強し始めた時、マズルカに乗せて作られたポーランド語の歌曲が気になって買った、パデレフスキ版の楽譜『SONGS』。
1曲目は「願い」。
19歳になったショパンは、コンスタンツィアに恋をしました。
ちょうどその頃に作曲されたのが「願い」という歌曲です。
「もしも私がお日様なら、あなただけのために輝くわ」「もし私が茂みにいる小鳥なら、あなた一人のためだけにさえずるの。」「なぜ小鳥になれないの!」という歌詞が、マズルカの曲調の上に乗せられています。
竹久夢二美術館へ行って来ました。
『レトロかわいい楽譜表紙 イラストレーションズ』
セノオ楽譜から出版された、夢二が表紙を描いた楽譜がたくさん展示されていました。
どれも可愛くてポップだけれど、どこか品があります。
ショパンの「乙女の願い」の楽譜も展示されていました。
ピンクとブルーの菱形のデザインに、乙女の可愛いらしい感じが表れています。
他の楽譜の表紙には女性が描かれていることがほとんどなのですが、この楽譜の表紙はパターンのみ。
「乙女」は、どんな女の子なのでしょう…
どんな歌詞になっているのかも気になります。
それにしても、パデレフスキ版のクリーム色とは、印象がだいぶ違います。
音楽家が使う専門的な楽譜ではなく、一般の人々が歌って楽しむための楽譜のようです。
他にも、とてもたくさんの楽譜の表紙が展示されていましたが、どれも楽譜の表紙というよりは絵画作品のようでした。
夢二は着物美人のイメージでしたが、洋服の女性もお洒落です。
当時は着物を着ている人が多い時代でした。
夢二は外国の雑誌を参考に描いたりしていたそうです。
文字のデザインも凝っていて素敵でした。
弾けなくても歌えなくても、持っていたくなる楽譜。
音楽が楽しくなりそうです。
ちなみに、ショパンの「願い」を、リストが変奏曲にしたピアノ曲があります。
装飾音符や細かな音符が増えていて、いかにも華やかなリストらしい編曲です。
ショパンの「乙女の願い」、あまり聞くことがない曲ですが、とても魅力的な曲です。