2020年5月16日

≪今週のレッスン Vol.129 5/16≫ 拍の揺れが気になる

生徒さんから、ご自宅での演奏動画を送っていただいて、思ったこと。
動画やオンラインでのレッスンはとても難しい…


レッスンで「言うこと」にはとても気を遣います。
同じ間違いやアドバイスでも、この子には言わなくても良い、この子には言っては駄目、この子には言わなくてはいけない…
言うことも、言い方も、生徒さんによって変わってきます。
ですから、演奏からだけでなく、日々の会話やコミュニケーションから、生徒さんの性格や考え方を知ろうとしなければなりません。

ずっと教室で見てきたならまだしも、初めての生徒さんとオンラインレッスンで会って、それを判断する自信は、私にはありません。

あくまでも、演奏は生徒さんのもの。
演奏者の思いをきちんと汲んでアドバイスしなければなりません。
それを間違えると、ただ私のコピーが出来上がるか、悪く言えばダメ出しをしただけになってしまいます。
明らかな楽譜の読み間違いはきちんと正しますが、良いところを伸ばし、変えてみると良くなりそうなことを提案する、それが私の方針です。

ある年長さんの女の子。
いつもとても元気な子で、ピアノも明るい音色で弾いてくれています。
とにかく、一生懸命楽しく弾くので、見ていてとても幸せな気分になるのです。

先日、動画を送ってきてくれたのですが、なんだかいつもと違う。
単純な指の練習曲なのですが、4拍目が不安定。
4拍目だけ1拍の長さが少しだけ短いのです。

元々、拍を厳密に正確にとりながら弾く子ではありませんが、注意しなければならないほど拍の揺れが気になったことはありませんでした。
恐らく、その子の弾く音楽の魅力的な部分が、拍の揺れを緩和させていただのでしょう。
隣で聴いていれば相当に意地悪な耳で聞かなければ気にならないくらいのことが、動画では明らかなミスに聞こえてしまうのです。

少し何か弱い部分があっても、それを、持っている魅力でカバーできる。
これは大きな武器です。

いただいた動画でも、とにかく楽しそうに明るい音色で弾いているのは伝わってくるのですが、だからと言って拍の揺れは全く緩和されません。
それは、電子化され何度でも同じように再生できる動画では仕方ないことです。

音楽を電子化すると、普段気付くことができない細かなミスが見えてくることがあります。
それはとても良いことです。
ですが、長所や個性を潰していってしまう可能性もあります。

直した方が良いところが電子化される際に緩和されてしまい、本来もらえるはずのアドバイスをしてもらえないこともあるかもしれません。
スマホの録音や録画には、ノイズを自動で消してくれる機能が付いていると聞いたことがあります。

何のためのレッスン?そう思ってしまいます。

小学生や中学生の生徒さんが可愛いことだけが取り柄だというのでは困りますが、動画の生徒さんの今の最大の長所は楽しく明るい音で弾けること。
それを潰すようなことはしたくありません。

オンラインレッスンでは双方でやりとりができるので、動画を見てアドバイスをするのとはまた違うかもしれませんが、やっぱり電子音ではなく、生の音からアドバイスしたい。
同じ空気の中に居るからこそ出来るレッスンがあるのです。

時代が変われば、いかに電子音で上手に聞こえるかを追求するようなレッスンが求められるようになるのでしょうか…
複雑な気持ちです。

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