2021年1月21日

有名作品を独り占め

昨年の12月初めのこと、感染対策をして行ってきました。
一ヶ月以上が経ち、私自身にも周りにも何もなかったので、ブログに書くことにします。


国立国際美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展へ行ってきました。


ロンドン・ナショナル・ギャラリーが、初めて館外で収蔵品展を開催するとのこと。
61作品の全てが初来日。
目玉は、ゴッホの「ひまわり」(1888年)。
レンブラント、ターナー、ルノワール、モネなど、有名な作品ばかり。


私が見たいのは、フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」です。

絶対に見に行きたくて、1年ほど前から、チラシを大事に取っていました。
大阪展が開催されるだろうか心配しましたが、会期が変更になったものの、無事に見られることになりました。


日時指定制で、かなり空いている状態で作品を見ることができました。
しかも、もともとたくさんの人が来ることを想定して会場のレイアウトをされていたと思うので、すごく広々とした空間です。
フェルメール、モネ、レンブラントもゴッホも、独り占め。
どの作品の前に立っても、私の視界の中には作品しか入りません。
作品と1対1で向き合う時間。
何て贅沢!

さて、「ヴァージナルの前に座る若い女性」。


フェルメールの作品は、写真で見るのと実際に見るのでは、全然違います。

期待を膨らませて、作品の前へ。
「光の魔術師」と言われるフェルメールにしては「光」が少なめというか、地味な感じ?
本や資料で見る「ヴァージナルの前に座る若い女性」は、色味の調整がされているのでしょうか、会場で見るフェルメールの作品は私のイメージよりも数段階も暗いのです。
決して期待外れというのではありません。
でも、以前に『フェルメール展』で作品を前にした時のような鳥肌モノ、キラキラが飛んでいるような空気感はありませんでした。
誰が何と解説しようとも、それが私の感想。
「本物」を直接自分の目で見るのは、大切なことです。

後で図書館で調べたら、フェルメールの晩年の作品で、全盛期の画力には及ばないという文章も見られました。
それでも、やはりフェルメールを目の前にして立つ時間は最高でした。

きっとこの作品のメインは女性なのでしょうが、それよりも気になる、綺麗な楽器!
ヴァージナルの蓋の内側に描かれた風景画、箱には大理石を思わせるような装飾…
この作品には、ヴァージナルの他に、ヴィオラ・ダ・ガンバも描かれています。

フェルメールの作品には、楽器が描かれている物がたくさんあります。
私の中では、オランダは音楽のイメージが薄い国なので、何故そんなに楽器が出てくるのか不思議でした。
美術には詳しくないので、作品の感じから、フェルメールは割と近代の画家なのかと思っていました。
フェルメールが生きていたのは、1632年から1675年。
音楽で言えば、J.S.バッハ(1685年~1750年)よりも昔。

古楽器と言えばオランダ。
もちろん、フェルメールにとっては「古楽器」ではなく最新の楽器。
フェルメールは、ヴァージナルやヴィオラ・ダ・ガンバの時代だったのですね。

さて、作品の女性は、何を思ってこちらを向いているのでしょう…
口角は上がっていますが、目は冷たく感じます。
気持ちよく弾いている時に誰かが来て、愛想良く対応しながら、心の中では邪魔だなーと思っているんじゃないか?なんて、感じてしまいました…


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