2021年3月24日

指が速く動いたとしても

最近、立て続けに何人もの人から「○○ちゃんて知ってる?」と聞かれました。
その○○ちゃんは、テレビやYouTubeで活躍しているストリートピアノの演奏家なのだそうです。

私は全く知らなかったので、どんな人?と聞くと、指がとても速く動く人だとのこと。
どの人も、とにかくそれが凄いと言います。
あまりにもみんなが褒めるのを聞いていると、だんだんと虚しい気持ちになってきました。

○○ちゃんは、指が速く動くことを褒められて嬉しいのかな?

音楽を専門にしていない人には、その指の動きが、一番わかりやすいポイントなのかもしれません。
〇〇ちゃんの指の動きを褒めている人たちは、本当に純粋に凄いと思って言っていることだと思います。
それに指が早く動くことを褒められて嬉しいと思う人もたくさんいると思います。

私も小さな頃には、指が速く動くことが凄いことだと思っていた時期もありました。
むやみやたらに速く弾いて、周りの人に「すご~い!」と言われて、喜んでいました。
憧れの曲が、ショパンの「幻想即興曲」だったのは、音が多くて速いから弾けたら凄いんだ!と思っていたからです。

ですが、勉強と練習を重ねるうちに、指を動かすことよりも、音を作ること、音楽を作ることの方が大切で、難しいことだと思うようになりました。
指の動きを鍛えることよりも、耳を鍛えることの方が、はるかに大切なことです。
いくら指が速く動いたって、音が美しくなければ、響きが美しくなければ、台無しです。

私のピアノを聞いて、「めっちゃ指、速く動くなー!」と褒めてくださることがあります。
本当に申し訳ないですが、不安な気持ちになって落ち込むこともあります。

もしかして、私の演奏って、そこしか褒める所がない?

指が速く動くことは、音楽ではありません。
そんなことよりも「音楽」を聴いてほしい。
良い音色だとか、フレーズの歌い方が素敵だとか、つい聞き入ってしまったとか…

○○ちゃんのピアノ、YouTubeで少し見てみました。
凄いと思うところは、指の動きの他にもたくさんありましたよ!

そういえば、数ヶ月前にステージでピアノ弾いた後、先生から「ドレスは綺麗だったけど」と言われてしまいました。
ドレス「は」!
服装を褒められるのが、一番ダメなやつ…
それなら、指がきちんと速く動かせたことを言ってもらったほうがマシだったわ…


【まごいち音楽教室】
TEL:080-3130-7057
メール:mago1.klavier@gmail.com