2021年7月28日

お洒落な明治のオルガン弾きさん

こんな歳で恥ずかしいですが、人前でピアノを演奏する機会があると、何色にしようかなーなんて思いながら、持ち合わせのドレスを出してみたり、インターネットで演奏会用のドレスを検索したりしています。
この時間が結構楽しいのです。

ありがたいことに、20代の頃よりもステージで演奏できる機会が増えました。
痩せていて今よりは可愛かった20代の頃なら、もっと沢山の選択肢の中から選べただろうに…
その頃はインターネットショッピングなんてほとんどありませんでしたから、まずドレス屋さんを探すのに一苦労。
そして、今ではお手頃な物もありますが、当時はなかなかのお値段の物ばかりで、何着も買える物ではありませんでした…

発表会などで、小さな子たちが素敵なドレスを着てピアノを弾いているのは、とても可愛いですよね。
やっぱり、ステージでピアノを演奏するのは、特別なことなんだな…と感じます。

さて、『唱歌!西洋音楽がやって来た 明治の音楽と社会』の展示を見に、兵庫県立歴史博物館へ行ってきました。



見たかったのは、オルガン。
1920~30年代の日本楽器製造製の西川オルガンです。


最近、オルガンを弾かせていただくことがあるので、ちょっと勉強に…なんて思っていました。
チラシにも大きく載せられていたので、少し期待していたのですが、展示されていただけ。
残念。


明治時代の鍵盤楽器と言えば、オルガン。
オルガンが描かれた作品はたくさんありました。


鮮やかに描かれた音楽の風景。
普段なら楽器に目が行くのですが、惹かれたのは、素敵な女性の服装。
おめかしをされていたのか、それとも、普段から良い物を着られる上流階級の女性なのか…

この作品のタイトルは「梅園唱歌図」。
1887年(明治20年)12月に楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)によって描かれました。
中央の女性は皇后、少年は皇太子と言われています。
全員が洋装で、女性たちの後ろ腰を膨らませる下着はバッスルといい、19世紀後半に流行しました。


明治の頃の文字は、崩し字でなければ普通に読めます。
ですが、やはり読みにくく、言葉も難しかったりして理解するには大変です。
楽譜は難なく読めます。
何百年も前から楽譜の書き方は変わらず今も同じです。


鍵盤楽器パートの高音部譜表と低音部譜表の小節線が離れているのは、当時の書き方のスタンダードなのか、ヨーロッパからそう伝わったのか、正しく伝わらなかったのか…


歌の楽譜のメロディには、歌詞の下に音階の何番目の音なのかの数字が書かれています。
移動ドで勉強されていたのですね。
ピアノをしていると、音の高さと鍵盤、音名が連動して、固定ドが身につくことが多いです。
現代でも、声楽の人の中には移動ドを好まれる方もいて、相対的な音程感覚は移動ドの方がわかりやすいのかもしれません。

古い紙からは、当時の雰囲気が伝わってくるようです。
角がなくなっていたり、色褪せたり、書き込みがあったり…
ちゃんと誰かが使っていたんだな…と感じることができます。

今、楽譜もどんどんデータに変わってきています。
どこかしこから感じられる昔っぽい匂いというのは、未来にはなくなってしまうのでしょうか。
何だか寂しく思います。

展示の最後に「梅園唱歌図」の大きなパネルがあり、一緒に写真を撮れるコーナーがありました。

青色のスカートに黒いトップスを着ていた私。
地味だな…
もっと気合いの入った服装をして来るんだった!


【まごいち音楽教室】
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