最近、嬉しいことがあります。
何人かの生徒さんが、レッスン室のピアノを褒めてくれるのです。
ある生徒さん、弾き終えた後に「やっぱり本物のピアノはいいな~」としみじみ言います。
とても良く弾く生徒さんなのですが、最近までキーボードで練習していました。
グランドピアノを買ってもらっても良いほどの力がありますが、ご自宅の事情で音が出せないためアップライトピアノも難しく、少し前に電子ピアノを購入してくださいました。
電子ピアノになってから、まためきめきと上達しています。
また別の生徒さんは、曲を弾き始めると、何だかノリにノっていて、そのままどんどん加速し、本人の技術を超えてしまって途中で失敗…
「調子良く弾き始めたねー」と言うと、生徒さんは「このピアノが弾きやすいから」と言うのです。
この生徒さんのお家はアップライトピアノ。
ご自宅のピアノは弾いた後になかなか鍵盤が戻ってこないと言いますが、それはアップライトピアノとグランドピアノの大きな違いの一つです。
レッスン室のピアノが弾きやすいという言葉も嬉しいですが、アップライトピアノでは弾きにくいと感じるくらいの難しい曲が弾けるようになってきた生徒さんの成長も、嬉しいポイントです。
数年前まで、私は、レッスン室のピアノに不満がたくさんありました。
鍵盤が重いし固い、反応が悪い、音が飛ばない…
弾くとすぐに疲れてしまいます。
それが、素晴らしい調律師さんに出会って、その調律師さんが、もう何ともならないと思っていたピアノを素敵なピアノに変えてくださいました。
弾き心地は軽くなり、音もまとまって、かなり私の理想に近づきました。
誰が弾いても良い音がするピアノではなく、自力で良い音を作らないといけないピアノなので、練習やレッスンには適しています。
ですが、一回勝負の演奏や本番前のステージを模した練習にはなりませんし、他所のピアノに比べるとやっぱり重いので、恐らくまだ力が弱い小さな手の生徒さんには弾き辛いこともあると思います。
梅雨が明け、蒸し暑い夏がやって来ました。
除湿機とエアコン総出で室温と湿度に気を配ります。
延々と除湿機の中に溜まり続ける水。
湿度50%を切るくらいが一番弾きやすいのですが、そこまで下げるのは大変。
何とか良い状態のピアノでレッスンを受けてもらおうと、2時間前から部屋の中を調整しています。
ピアノの弾き心地や音色を褒めて貰えると、一生懸命に調整している甲斐があるな…と、嬉しく思うのです。
たまに湿度が下がりきらずに湿気た音がする時に、正直に「今日は弾きにくい」と言う生徒さん。
申し訳ないと思うと同時に、その違いがわかる生徒さんに少し喜ぶ私…
レッスン室の後ろで聞いてくださっている親御さんが、今日は音が違いますねとおっしゃることもあります。
ピアノは生もの。
環境の変化で、弾き心地も音色も変わるのです。
それに対応できる力をつけたいですね。