こども園に通っている小さな生徒さん。
とても良く弾ける子で、どんどんテキストを進んで、両手がメロディと伴奏に分かれている曲を弾けるようになりました。
明るい音で弾くので、聴いていて気持ちの良い演奏をする子です。
そして、小さな手で一生懸命弾いている姿はとても可愛く、思わず笑顔になります。
ただ一つだけ気になる点が。
元気に弾き過ぎて、音が跳ね過ぎているのです。
まだ幼いので、そんな細かいことを気にする必要もないのですが、レガートで弾くことも出来そうだったので、一度やってみようかと思いました。
「音が全部カエルみたいに飛んでるから、ナメクジみたいにネチネチと弾ける?」
そう伝えて何度か弾いてみてもらいましたが、レガートにはなりませんでした。
「ウサギが跳ねるように弾いてみて」
「カタツムリが歩くように弾いてみて」
いつもなら、何かを表現しようとすると弾き方が変わる生徒さんなのですが、残念ながら今回は、どちらもあまり変化はありませんでした。
もしかしたら、その曲に対して生徒さんなりのイメージを持っているのかもしれません。
他の曲は美しくなめらかに弾けるので、勿体ないな…と思いながら、ボソッと「スタッカートになってるから、レガートの方が良いんやけどなー」と言いました。
すると、生徒さんは「こう?」と言いながら、見事なレガートで弾いてくれました。
最初から、スタッカートとレガートの説明をすれば良かった…
短い練習曲のテキストをしているので、1回目はレガート、2回目はスタッカートで弾こう、ということをいつもしています。
まだ小さい子だから、動物の動きで説明した方がわかりやすいかな?なんて、要らぬお世話でした。
小さくても立派に音楽家。
既に、たくさんの音楽用語を知っています。
フレーズごとにスラーを書き込むと、極上のレガートで弾いてくれるようになりました。