以前、ピアノのレッスンを受けるのが全く初めての大人の生徒さんに教則本をお渡ししました。
恐らく元はお子様向けですが、大人の方も使っていただけるようなシンプルなデザインの本です。
そのテキストの1番最後のページには、終了証書が印刷されています。
それを見た生徒さんから質問を受けました。
「どれくらいで終わるんですか?」
その教則本は、順調にいけば半年から1年以内で終わるでしょう。
そして、更に生徒さんが聞かれたのは、ピアノのレッスンはどこまでやったら終わりなのかと言うこと。
考えたこともない質問に驚きましたが、音楽と関係ない所にいた人にとっては、ごく普通の質問なのかもしれません。
答えとしては、ピアノのレッスンに終わりはありません。
少ないけれど生徒を持って先生と呼ばれるようになった私にも先生がいて、レッスンに通っています。
私の先生にも先生がいます。
先生の先生にも、先生がいるはずです。
何かの資格試験であれば、試験を受けて合格して免許を取得したら、とりあえず一旦、学ぶ事は終わってしまうのかもしれません。
例えば、自動車の運転免許なら、教習所に通って勉強と練習をし、筆記試験と実技試験を受けて合格すれば、免許を取得することができます。
免許を取得した後、車を運転する時、そこには先生はいなくて、みんな自由に運転しています。
ピアノには、資格も免許もありません。
ある程度の期間レッスンに通い、自分で楽譜が読めるようになって、1曲を仕上げるのに困らなくなれば、先生に見てもらわなくても自由に弾くことは可能です。
なぜレッスンに通い続けるのか。
多くの場合は、技術を磨くためと知識を得るためだと思います。
いつになっても弾けないところは出てきますし、姿勢や手の使い方が合っているか見ていただいて直していく必要があります。
正解がない音楽だから、延々と考え続けて、直し続けて、昨日はそれで良かったところが今日は不満になり、今日直したところを明日また考えて…
相談する相手も必要です。
自分の技術とセンスを磨き続けて、知識と経験を増やし続けて…
先生に合格を貰ったからと言って、その曲が完璧に仕上がるなんてことはありませんし、いつだって自分の理想通りに弾けるなんてこともなく、さらにそれが全ての人に認めてもらえることなんて絶対にあり得ません。
どこまでやっても終わらないので、いつまでもレッスンに通い続けることになります。
だから、ずっとレッスンに通いたいと思える、良い先生に出会うことは、大事なことです。
数日後は私もレッスンの日。
練習!練習!