ピアノは、同時にたくさんの音を出すことができる楽器。
ですから、1人でメロディーや副旋律、伴奏などの複数のパートを演奏することができます。
それぞれのパートが両手を行き来して複雑に織り込まれている曲もたくさんありますが、右手がメロディーで左手が伴奏、あるいはその逆というように、片手ずつ役割が分かれている曲も多いです。
最近、バイエルの後半の曲を練習している生徒さん。
バイエルの後半には、右手がメロディーで左手が伴奏の曲が多いです。
少し前から何度もメロディと伴奏のバランスについてアドバイスしていました。
メロディに比べて伴奏の方が音数が多く、低音域になると、ハンマーが大きく弦が太いので容易にボリュームのある音が出やすいため、どうしても左手の伴奏の方が大きくなりがちです。
伴奏がメロディを消さないように弾けるように宿題にすると、翌週にはきちんとメロディを強めに弾いてきてくれます。
そして、そろそろ、言われる前にバランスを気にすることができるといいね、という話をしていました。
さて今週、持ってきたバイエルの曲。
右手のメロディーは、もの凄くよく聞こえます。
ただ左手の伴奏、右手のメロディーを消さないようにと注意しすぎたせいか、所々伴奏の音が消えてしまいそうなくらい、弱い弱い音で弾いています。
自分で注意できたこと、やろうとしたことは、とても素晴らしいことです。
ただ、今度は逆にバランスが悪くなってしまっています。
伴奏を弱くしようと何度も言っていたので、そればかりが頭に残ってしまったのかもしれません。
「バランスを取る」と言う事は単に音の大きさを変えるということではなくて、やっぱり「バランスを取る」ということなのです。
私が真似をして伴奏を弱く弱く弾いてみると、それを聞いた生徒さんは「変!やり過ぎてたかー!」と。
日頃の練習の成果、すぐにちょうど良いバランスで弾いてくれました。