2022年1月17日

休憩中か勉強中か

私の中には「ピアニスト」という人たちへのイメージがあります。

例えば、服装。
もちろん舞台上では煌びやかなドレスを着て演奏しますが、何となく普段の身なりもきちんとしているイメージです。
ピアニストとまで言わなくても、音大生や舞台袖に集まる人たちにも同じようなイメージを持っています。
綺麗系でなくても格好良くてスマートだったり…

そして、勉強を怠らない。
とにかく、何でもきちんとしている印象があるのです。

だから、私もそうありたい思うのですが、人間の根っこが違うのか、なかなか上手くいかないもので…

前にラフな格好でレッスンをしようとしていたら、「ピアノの先生は綺麗な格好をしていて欲しい」と妹に言われたことがあります。
もしかしたら、妹もピアノを弾く人に何かしらのイメージを持っているのかもしれません。

さて、三菱一号館美術館で『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 -モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』を観てきました。


「光=明るさ」と安易に思ってしまいますが、ヨーロッパの空は暗くてどんより。
行ったことがないのに、記憶の奥の方を見ているような気がするのが不思議です。

コローやクールベの奥深い世界にいたと思ったら、いつの間にかセザンヌやゴッホの奇抜な世界へ連れて行かれていました。


モネの『睡蓮』(1907年)、何故「池」という平らなものを縦長のキャンパスに描いたのか…
不思議です。
今回の図録の表紙になっていて、とても美しいです。


気に入ったのは、レッサー・ユリィ『夜のポツダム広場』。


温度や匂いまで感じてしまいそうな情景。
ジトジトした雨模様。
暗闇の水に光る灯りの反射。
好きな雰囲気です。

そして、エドゥアール・ヴュイヤール『長椅子に座るミシア』。


だらしなくソファにもたれたおばさん。
何て格好をしているの…
ずり落ちそうだし…
寝てる?

解説を読むと、モデルの女性ミシア・ナタンソンは才能あるポーランド人のピアニストなのだそうです。
それを踏まえてもう一度見てみます。

すると、寛ぎつつ、新聞か何か難しそうな物を読んでいる女性に見える不思議。
はっきりとは見えない顔の表情も、とてもキリッとしているように見えてきます。
ピアニストは勤勉だという私の中のイメージが、この絵の様子を変えたのです。

情報があるのとないのでは大違い。
そして、経験や知識、思いや考え方で、作品の見え方はどんな風にも変わるのだと実感しました。

この展覧会は、コンクールでピアノを弾いた後に慌てて東京駅に戻って観てきました。
演奏が終わって袖に戻り、上階の楽屋へ駆け上がり、ドレスから服に着替えてホールを出るまで約6分。
史上最速の早着替えです。
最寄りの駅まで早歩き。

ピアニストって、絶対こんなにセカセカしていないはず…、もっと優雅に歩きたいわ~なんて思いながら…
ピアノに美術館に贅沢な1日でした。
私の服装、大丈夫だったかな…

【まごいち音楽教室】
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