2022年1月15日

≪今週のレッスン Vol.214 1/15≫ マイナスのフォルテ

ストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽『ペトルーシュカ(Pétrouchka)』。
ペトルーシュカは、命を吹き込まれ感情を持った藁人形です。
人間に憧れつつ、やはり完全に人間にはなることができない悲しい運命を描いた物語です。

さて、「オルガン・ピアノの本」の3巻に「ペトルーシュカ」という曲があります。
4小節の短い曲で、聞くからに暗く重たい感じがします。
そして、悲しい顔をした操り人形のイラストが描かれています。


さて、小学生の生徒さん。

最初の4小節の左手の分散和音の3つめの音、親指で弾くレの音が長いのです。


その後の八分休符も無くなってしまっています。
「この左手って何を表していると思う?」と聞いてみましたが、少し難しかったのか「う~ん、わからん…、伴奏?」と。
右手のメロディは悲しい歌を歌っているとして、私は左手はポロッと落ちる涙のように思う、と、生徒さんに伝えてみました。
楽譜を睨みながら八分休符を入れるのは大変そうでしたが、涙が落ちる様子を想像するとすんなりと弾けたようです。

弾いている本人の中にその景色があり、それを表現しようとすれば、聞いている人にも同じ景色が見えて来ます。

そして、2段目、強弱記号がf(フォルテ、強く)になっています。


フォルテなのに少し弱々しく、その生徒さんにしては珍しく遠慮したような音で弾いています。
生徒さんは「これが変なんよ、なんでフォルテなんかわからん!かなしげにって書いてるのに!」とのこと。

確かに、今まで出会った曲でフォルテだと、大抵は明るかったり楽しかったり、強そうだったりしました。

悔しい時に、もーっ!って、力が入ることってない?
もうどうしようもない時って、怒りが沸いてくることない?
それって強いでしょ?と伝えると、「ほんまやー!」と納得してくれました。

プラスの様子や感情だけがフォルテではありません。
マイナスのフォルテもあるのです。

それは、経験したことがないとわからない感情ですよね。
小学生でそれが理解できた生徒さんは凄いと思います。
子どもなりに日々いろんなことを感じながら生きているのだなーと。

演奏するためには、いろんなことを経験して、たくさんの景色や感情を持たなければなりません。
もちろん練習は大事なのですが、練習だけでは限界があるのです。

小学生の生徒さん、随分と大人っぽい素敵な曲に仕上がりました。

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