知り合いに保育士さんがいます。
今の保育では、周りと足並みが揃わないことも、苦手で出来ないことも、認めてあげる方針だそうです。
やりたくなければやらなくてもいい、本人の意思や行動を尊重するのだそうです。
それはそれで良いことだと思います。
じゃあ時代に合わせて、ピアノのレッスンも同じように…
本人がやりたくないことをやらず、苦手には目を瞑り、出来ていなくても良いよ、と出来るかというと、それは違うと思っています。
ピアノを弾けるようになる為に通っていただいているのですから、出来なくても良い、というわけにはいかないのです。
嫌いだとしてもやらなくてはいけない練習曲もあるでしょうし、苦手なところは克服していかなければなりません。
ただ、それは、みんなに同じようなレッスンをして、みんなと同じように弾けるようになるということではありません。
生徒さんそれぞれに合ったレッスン内容で、その生徒さんが出来る方法を見つけていくということです。
個人レッスンなので、1人ひとり進むペースは違います。
練習する曲や宿題も違います。
手の使い方を改善したい時は単純な練習曲が多くなります。
楽譜を読めるようになって欲しい時は、曲の完成度よりも、とにかくたくさんの曲を弾くことが優先になります。
ワークブックが有効な時もあります。
出来ないところを出来るようになってもらうのが私の仕事。
出来ないことのいくらかは、私の責任でもあります。
ただ、練習するのは本人。
私は、アドバイスしかできません。
譜読みをして指を動かすところまでを代わりにしてあげることはできませんし、音や弾き方を変える練習をするのも本人にしかできません。
性格的な問題は難しいですが、速いテンポで弾く曲を「私はマイペースな性格だから~」とゆったりのんびり弾いてもらっても、それで良いよとは言えません。
楽譜に書かれていることは絶対なので、速くと書いていれば速く弾かなければいけませんし、ゆったりと書かれていれば速く弾いてはいけません。
世の中にはいろんな曲があります。
得意を伸ばすことはもちろんですが、苦手なことも克服して良い方へ伸ばしていかなければ、きっとどこかで行き詰まります。
得意な曲や好きな曲ばかりを弾くのではなく、やっぱり一通りは満遍なく弾いて勉強するべきです。
本当はこう弾くということを理解した上で違う弾き方をするのと、正解を知らずにただ間違えた弾き方をしているのでは、一見表面が同じようでも、中身は全く違います。
周りと足並みを揃える必要はありませんが、ある程度、みんなが通った道を知っておくことは大切なことだと思っています。