小学生の生徒さん、練習曲で、Allegroの曲が出てきました。
Allegroなので速く弾かなければならないのですが、ゆったりゆったり…
元々性格もマイペースで、ピアノものんびりと弾くような生徒さん。
ハノンをしているのですが、なかなかテンポが上がりません。
速く速くと急がせても、まだまだマイペースを貫くような生徒さんです。
テンポアップという曖昧な指示では伝わらず、メトロノームで四分音符=100などと伝えてカチカチ鳴らすと、やっと速く弾こうとします。
真面目な生徒さんですので、四分音符=60、80、100、120、132…と速さを指定して宿題にすると、ある程度の速さまではチェックがあり丁寧にきちんと弾いてきています。
ですが、大きな数字にはたどり着けていません。
もちろん、段階的に上げていくものなので、最初からは無理ですが、なかなか速度は上がりませんでした。
メトロノームがなくなると、ゆったり弾いてしまいます。
きっと、きちんと弾けて無理がない、本人の心地よいテンポなのだろうと思います。
これから先、速く指を回さなければならない曲がたくさん出てきます。
それをこの生徒さんは弾きこなせるのだろうか、どうしたら速く弾いてくれるのか良い策がないか探しながら、数か月が経ちました。
子どものレッスンはあっという間に進むもので、Allegroで16分音符が並ぶような練習曲のゾーンに入ってしまいました。
やっぱり練習してきた速度は倍くらい遅く、Allegroの意味を一緒に考えても、速く速くと急かしても、下で伴奏を弾いても速くはなりません。
結局、四分音符=100でメトロノームをかけました。
メトロノームを聞いて頭の中で拍を取り、1拍に4つ入れます。
口元で小さくタタタタと言いながら弾く速さを確認している様子を見ていると、テンポに合わせてきちんと取れています。
ですが、いざ弾いてみると、全く指の動きがついていきません。
何もしなくても速く弾ける指を持っている人もいますが、大抵の人は訓練して動くようになっていくものです。
動かないのは、今まで速く弾いてこなかったからです。
本人もきっと、指が動かないことに驚いたでしょう。
生徒さんは、ゆったりした曲が好きだそうで、発表会の曲も、美しく流れるような曲を選びました。
そのような曲はとても上手に弾きますので、得意なところはどんどん伸ばして、好きな曲を美しく弾いて欲しいです。
ですが、レッスンとなると、好きなことばかりをしていけるわけではありません。
ゆったりした曲の中にも速いパッセージが入っていることもたくさんあります。
発表会の美しい曲の中にも、トリルや速いアルペジオが出てきます。
得意を伸ばすばかりで苦手を克服しなければ、いずれ弾ける曲が限られてしまって、楽しみが減ってしまうことになります。
これから、速く動かせるよう、また少しずつ頑張っていきましょう。