2022年7月27日

トロフィーが欲しかった!

他人からどう思われているか、他人と比べて自分はどうか…
私はそういうことを気にする人間です。

他人と比べて生きていくなんてやめた方がいいという考え方が圧倒的のようですが、いろいろ気にする生き方が私は全く嫌ではないし毎日楽しく生きています。
だから、私は他人の目を気にしながら生きていく、そういう生き方で良いと思っています。

着たい服を着る、食べたい物を食べる、何をどうするかはその人の自由です。
他人からどう見られているかを気にしなくても良いし、気にしていたって別に良いです。
人より良い物を身に着けて優越感に浸りたければそうすれば良いし、そうなりたくて足掻くのも良いし、人より良い物を持つことができずに嘆くのも別に良い…

他人の目を気にせずに生きていく方が楽でしょうし、そういう人は強いのかもしれません。
ただ、実際に自己満足の塊で生きている人を見て、ああはなりたくないと思ってしまうのも事実で、そう思う以上、私はそうはなれません。
そして、ややこしいですが、そういうことを全部ひっくるめて自分に素直に生きているつもりです。

他人の目を気にすることが何のメリットにもならないことはよくあります。
ですが、クラシック音楽を勉強している上では、自分以外の見え方で事を見たり考えたりする力は必要だと思っています。
他人にはどう聞こえるのか、他人はどういう印象を受け取るのか、そういうことを気にすることが良い音楽を作るヒントになるはずだと信じています。

趣味として音楽を楽しむのであれば、弾きたいように弾いて、歌いたいように歌って、自分の思うままに演奏をして自分が気持ち良くなればそれで良いのかもしれません。
しかし、専門的に勉強をして、誰かに披露したり誰かに教えたりすることになってくると、そうはいきません。

見たことも喋ったこともない人が作った曲を、楽譜だけを頼りに演奏します。
客観的に聴いて冷静に判断することができなければ、進歩はありません。
作曲家の意図を汲み取って考えた上で、自分なりの表現をすればどんな音楽が出来上がるのか。
それは、自分はこう思うと言って自由に弾く演奏とは全然違います。

そうは言っても、私は、他人からどう見られているのかを気にし過ぎて、自爆するタイプです。
他人の目を気にすることでデメリットがあるのなら、何とかしなければなりません。

出来るだけ人前に出たくない私ですが、ピアノの先生から勧められて、昨年の夏からコンクールに挑戦していました。
何か良い順位が欲しかったわけではなく、もちろん獲れるとも思っていません。
とりあえず、場慣れです。

本番が近づいて来ると気が重くなってくる私。
こんな私が弾いて大丈夫なの?
変じゃない?

新型コロナウイルスの影響で、関係者以外はホールに入れず、演奏が終わったら速やかにお帰りくださいと言われ、空っぽの客席。
審査員の先生以外は誰も見ていないなんて、私には好都合でしかありません!
この状況が場慣れになるのかは不明ですが…

出たら出たで欲が出てくるもので、予選は通過したい、他人よりも上手に弾きたい、評価されたい…
考えれば、私に必要なのは、他人の目を気にしたり他人と比較した時にそれと戦える自信です。
明確な他人との差(順位)が欲しい。
できれば、他人よりも優位な物が欲しい。
それでも自信がない私は、自分の精一杯の演奏が出来れば良いと、自分に言い聞かせます。

予選、本選と、自分では決して良い演奏とは思えるものではありませんでしたが、全国大会へと進み、結果そこそこな成績をいただきました。
そこそこと言え、取れるとは思っていなかった順位です。

調子に乗った私は、年明けにもう1つコンクールにエントリーしました。

予選が動画審査なので面倒臭いな…と思いながら、一応ホールは借りましたが機材が揃わずスマホで一発撮り。
とても満足のいくものでのはなく、他人に聞かせられるようなものではないと思い、提出するか悩みました。
ですが、そのうち悩むのも面倒になってきて、ダメなら落とされるだけだと、そのままエントリー。
それくらいの図太さは、歳と共に持ち合わせるようになりました。

無事に予選を通過し、本選会場の尼崎へ弾きに行ってきました。
結果は郵送です。

数日後、家のポストに小さな封筒。
封筒の大きさで駄目だったかと予想しましたが、開けてみると、何と名前が書かれていて第1位!
本番にしては悪くはない演奏をしたと思っていましたので、何かの賞に引っかかっていたら嬉しいなーなんて思っていたのですが、驚きの結果でした。
審査委員長賞もいただきました。
表彰状の他に盾とトロフィーをいただけるようです。

この歳になると、最後は続けた者勝ち。
学生の時に一緒に頑張っていた同級生たちのどれだけが今もピアノを弾いているでしょうか。

結果と一緒に、入賞者披露演奏会の申込書が同封されていました。
第1位は嬉しいですが、人前で演奏することにはやっぱり気が進みません。
第1位にふさわしい演奏をすることは、第1位を獲るよりも難しいことです。
私の苦手な「プレッシャー」というものが、順位が付いたことにより増幅されてしまっている状況です。

第1位は嬉しいな、でも困ったな…
演奏会の案内を良く読むと、衝撃的な事実。
演奏会に出なければ表彰状も盾もトロフィーもいただけないとのこと!

欲しーい!

人生で盾やトロフィーを手にすることができる人がどれだけいるのでしょう。
しかも盾には、やっぱり嬉しい「第1位」と書かれているはず。

絶対に欲しーいっ!

気が進むものではありませんが、目の前にエサをぶら下げられていますから仕方ありません。


先日、入賞者披露演奏会で演奏してきました。
そして、無事に念願の表彰状と盾とトロフィーを手に入れました。



結局のところ、「第1位」を獲って自分に自信がついたわけでなく、残念ながら何も変わっていません。
相変わらず他人の目は気にしますし、ウジウジと悩みながら過ごしています。

順位は私の何を変えるわけでもなさそうですが、練習をして勉強をすれば演奏が変わっていくのは事実のようです。
結局、盾とトロフィーがあっても、練習をして勉強をしなければ納得のいく音楽は作れません。

他人の目を気にしながら少しの自信を持って弾く私の演奏でも、ちゃんと認めて貰えるということが、今回の戦利品。
だから、やっぱりこれからも、世間から見ればくだらないようなことをいろいろ気にしながら、私はピアノを弾くのだと思います。
とりあえず今のところは、それで良いのです…

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