小学生の男の子。
音を間違えています。
変な音ではありません。
でも、楽譜に書かれている音とは違います。
「楽譜に書いてある音符と休符、記号を、ひとつずつ全部見ながら弾いてごらん」と伝えました。
すると、楽譜通り正しく弾くことができました。
「楽譜を見ましょう」と再三伝えても、なかなか正しく直らなかったのは、「見る」ということが間違っていたからです。
その生徒さんは、「見る=眺める」になってしまっていて、広く楽譜全体を視野にいれながら弾いていたのでしょう。
「見る」ということは、目的のものを、一つずつ確実に捉えなければいけません。
思い込みで帳尻を合わせるのも、考えてふさわしい音を当てはめるのも、どちらも音符を読んでいることにはなりません。
楽譜を読むだけでは音楽にはなりませんので、そこから指を動かして鍵盤を押すことができなければなりません。
音楽の流れもありますし、考えなければ弾けないこともたくさんあるでしょう。
考えると言っても、読んだものを元にして考えなければだめです。
読まずに考えても正しい答えは導き出せません。
順番を逆にしてはいけません。
まず見る、そして考える。
帳尻を合わせられるのも、一つの感覚の才能でしょうから、持っていて損はない武器だと思います。
でも、それを使うのは、本当に困った時だけにしてほしい。
最初からそれを使ってしまえば、ただの適当になってしまいます。
今週のレッスンでは、正しく弾けていました。
きちんと楽譜を読んで練習をしてきた時は、直すところがないくらい上手で丁寧に仕上がっています。
私も、きちんと楽譜の全部を見られているだろうか…
学生の頃は、それこそ大体でしか楽譜を読んでいなかったので、見落としていることが山ほどありました。
今は、隅々まで気をつけるようになりましたが、それでも、読み切れていないところがあったりします。
楽譜を読んでから、考えて弾く。
順番が逆にならないように。
生徒さんに言いながら、自分にも言い聞かせていました…