2022年12月3日

≪今週のレッスン Vol.260 12/3≫ 人生いつでもスケール

他所の教室から移ってこられた生徒さん。
良く弾く生徒さんですが、スケールやカデンツは少し苦手のようです。

ですから、調性感覚があまり強くないのか、曲を弾いていても調号を落としたり、転調が起こるとついていけなかったりすることがちらほら。
和声進行も恐らく曖昧なので、終止形での解決音がすぐに弾けなかったり次の音を予測できなかったり…

練習内容を相談していて、ハノンとスケールをすると良いよ、と伝えました。
ハノンは1番からもう一度。
スケールもやった方が良いね、と伝えると、「スケールは前に一通り全部弾きました」と。

そうなのでしょうが、スケールやカデンツはそういうものではないのです。
一度やったからOKというようなものでなくて、いつでも正しく弾けなければならないものです。


スケールとカデンツを丸暗記すれば、調性感覚が身に付くわけではありません。
ですが、少しの足しにはなるでしょうし、やはりいずれにしても出来なければならないこと。

この生徒さんだけでなく、スケールやカデンツが苦手な生徒さんはたくさんいます。
調性感覚やスケール、カデンツの感覚は、どのように身に付くのでしょう。
あまり練習しなくても感覚で弾けてしまう人、練習に練習を重ねて弾けるようになる人、練習をしてもしても残念ながらなかなか弾けない人。

楽譜を読めば、どんな曲もいずれ弾けるようになるのでしょうが、出来るようになるまでの時間や苦労に個人差があります。
調性感覚がある人の方が、楽譜を読むのは断然早いです。
音楽も文章と同じで、文法のようにきちんと規則があります。
会話や読書で状況や話の流れがわかると次の言葉をだいたい予測できるのと同じように、次に続く音もある程度は予測することができます。
知らない曲を聞いている時でも、終わるな…と感じる所でやっぱり終わるのは、カデンツの終止の感覚があるからです。
何となくのその感覚は誰にでもあるのでしょうが、ピアノを弾く人なら、ドレミでわかるとか、手が動くとか、そのような感覚がなければなりません。

曲を良く弾ける生徒さんがみんなスケールを困らずに弾いているわけではありません。
曲の進みがゆったりな生徒さんが、スケールを感覚的にサラッと弾いてしまったり、カデンツを楽譜なしで音を探りながら何調でも弾けたりします。

ありがたいことに私自身があまり苦労しなかったので、どうすれば調性感覚を身に付けてもらえるのか、まだ模索中。

ある小学生の生徒さんに「何調?」と聞くと、少し考えて「ヘ長調!」と答えてくれました。
「何でそう思った?」と聞くと、「弾いてたらわかる」とのこと。
恐らく、その生徒さんは、調性感覚があるのでしょう。

調号をたくさん落として弾いてきた生徒さんに、何調?と聞くと、楽譜を見て考えて…
聞かれるまで、何調か、調号は何か、そういうことを考えないこと、聞かれても即答できずに考えてしまっている時点で、何調かということを重要視していないのかもしれません。

何調か判明して、その調のスケールとカデンツを弾いてもらうと、なめらかではないものの、きちんと弾けました。
なぜそれを曲に生かさない?
最低限、スケールとカデンツを曲に繋げれば、不自然な調号の見落としや和声進行は防げるでしょう。

どうすれば調性感覚を身に着けることができるのか…
試行錯誤のレッスンです。
生徒さんはスケールとカデンツを練習しながら、これから少しずつ変わっていってくれることに期待します。

【まごいち音楽教室】
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