2023年1月21日

≪今週のレッスン Vol.266 1/21≫ 間違いの原因

ブルクミュラー『25の練習曲』。


2曲目は有名な「アラベスク」です。
とても楽しい曲で、みんな弾きたがる曲です。
楽譜を置かずに耳で聞いて覚えたり、鍵盤の場所だけを教えてもらって弾いている人も結構いると思います。


さて、この曲を練習している生徒さん。
再現部の最初(19小節目)、左手の和音はイ短調のⅠの和音ラドミですが、何度弾いても、一度ソシレを弾いてラドミに弾き直しています。
毎回弾き直すので、ソシレが間違いだということはわかっているようなのですが、どうしてもそれを弾いてしまいます。


原因はその前を弾き間違えているからです。

中間部から再現部への左手の繋ぎ(18小節目)は「ミレドシ」ですが、それを間違えて「レドシラ」と弾いています。


楽譜通りに「ミレドシ」と弾けば、自動的に小指がラの所へ来て、ラドミの和音が弾けるのですが、「レドシラ」と弾くから小指がソの鍵盤に来て、そのまま着地するとソシレの和音になってしまいます。

間違えたり失敗したりする原因は、間違えている場所ではなく、その前にあることが多いです。
この生徒さんの場合、「ラドミ」が弾けない原因は、その前の「ミレドシ」。
そして「ミレドシ」も弾き間違えているので、さらにその前に原因があるということです。
つまり、一つ前の小節のレ♯の役割を理解していないことにあります。

レ♯は、理論的にはミに向かう音(導音)になります。
知らない曲でも次で終わりの音だなと何となく予想できるのは、この導音があるからです。
導音を聞くと、次に主音がやって来るというのが、自然な音楽の流れです。

レ♯を通ってミに解決、そのミの音がある和音の中にまた導音(ソ♯)があるので、ラの音に解決して再現部が始まります。
レ♯のあと、レのナチュラルにまた戻るのであれば、それは、レ♯ではなくミ♭と書くべきです。

楽譜をきちんと読む、自然な流れや響きを聴く、音楽理論で考える。
どれか一つでもできていれば、間違い自体は防ぐことができたと思います。

電柱にぶつかるのは、そこに電柱があるからではなく、電柱を事前に発見できなかったから。
それを回避する進行をしなかったから。
原因はいつも手前にあります。

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