2023年2月4日

≪今週のレッスン Vol.268 2/4≫ 先生討伐!

毎月月末にコインチャレンジをします。
1曲演奏して、先生からの質問に2つ答えます。
良く出来ていたらコインを貰うことができ、集めたコインでガチャガチャを回したり、好きな物に交換したりすることができます。


演奏のチャンスは1回しかありません。
楽譜通りにきちんと弾くことは大前提ですが、間違えずにというよりは、音楽の流れに乗って止まらずに最後まで弾くことを目標にしています。

先週のこと。
小学4年生の男の子。
とても良く練習してきて調子よく弾いているのですが、間違いがたくさんで止まり止まりになってしまいました。
もう一度弾いてもらうと、きちんと流れに乗って弾くことができました。
ですが、チャンスは1回。
発表会でもコンクールでも、本番というのは一度きりしかありません。
2回目できちんと弾けると言い張っても、それを披露することはできません。
1回目で思い通りに弾けなければならないのです。

「1回目できちんと演奏できるようにするにはどうしたら良いか、考えてきましょう」と言いました。

2回目なら上手に弾けるという生徒さんは多いです。
私自身もずっと課題になっていることです。
ですから、1回目で失敗してしまって何故弾けなかったのかと悔やむ気持ちには共感できます。
私も試行錯誤の毎日ですので、生徒さんにアドバイスとして伝えられることはいくつもあります。
ですが、これは人からの助言をそのままするだけではどうにもならない問題のようです。
弾く前に準備をきちんとすることや、仕上がりが曖昧な時は間違える恐れがあるところを確認しておくなど、絶対にした方が良いことはたくさんあります。
ただ、最終的には、生徒さん自身で探って乗り越えなければならないことです。

今週、考えて来た生徒さん。
「頭の中で弾く」と書いていました。
演奏を始める前に頭の中で一度弾いておくということだそうです。
すると2回目のように弾けるとのこと。

実際にそれをきちんとしてもらって、その日の最初の演奏です。
良く弾ければ、前回取りきれなかったコインを貰うことができるチャンスです。

結果は、前回よりも良く弾きましたが、やっぱり止まってしまうところや弾きなおしてしまうところが何ヶ所かありました。
落ち込む生徒さん。
「次の策を考えなあかん」だそうです。
前向きに行動できるのが素晴らしいです。

さて、コインチャレンジが終わり、レッスンです。
複数の調でカデンツを弾きます。
今は6つの調を弾いています。


弾く前に生徒さん、唐突に「このカデンツの音符で先生を倒すわ!」と言いました。
何故、私が音符に倒されなければならない?
弾いた音が飛んでいって、私を攻撃するのだそうです。
「音を飛ばす」なんて言えば、音楽的には良いことのように聞こえます。
攻撃的な音色で弾くのではなく、きちんと正しく弾くとその音符が私を攻撃するのだそうです。
「もし間違えたら、その間違えた音符は自分に飛んでいくから自爆するでな!」と言っておきました。

いつも少しずつ音が欠けてしまっていたり、調号を落として弾いた後に気付いたりする生徒さんですが、とても慎重に良く考えて弾いています。
結局、6つの調全てを完璧に弾ききって、私は倒されました。
「討伐成功」だそうです。

そこで質問。
コインチャレンジの曲では、考えてから弾いても1回目で弾けなかったのに、何故カデンツは1回目で全部間違えずに弾けたの?
生徒さんは「頭の中に本棚があって、そこにカデンツがちゃんと入ってるから」と言いました。
正しい棚から正しい物を正しいタイミングで取り出すことができれば、間違えずに弾けるそうです。
コインチャレンジの曲は、本棚に入っているけれど、まだ曖昧なところがあって、出す物やタイミングが良くないそう。
「練習不足やな」と言っていました。

そして「あとは、カデンツで先生を倒そうと思ってたからな!」と。
絶対に失敗したくないという気持ちと集中力があったそうです。
コインチャレンジではそこまでの気持ちはなかったのだそうです。
練習量の差や、仕上がりの具合はもちろんありますが、気持ちや意気込みも大きな問題だと思います。
そして、その気持ちを持って練習に取り組めるかです。

先生を倒すのも良いですが、結局は自分との戦いです。

何だか生徒さんとたくさん話したレッスンでした。
きちんと自分で考えて、そしてそれを言葉にして説明できる、素晴らしいことだなと感心させられました。

生徒さんに負けないように、私も頑張りますよ!

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