2023年5月1日

譜面台の上の鉛筆

先日、神戸にある竹中大工道具館へ行ってきました。


入り口でチケットを購入し、地下にある展示室へ階段を下りていきます。


だんだん広がる木の匂い。
この匂いはちょっとドキドキする匂いです。
ホールの舞台袖の匂いと同じです。

見たことがある物から、知らない物まで、たくさんの道具が展示されています。

人々が道具を使うようになったところから、改良の歴史を見られるようになっています。
質の高い物を作るために、効率よく作業ができるように、道具は改良されていきます。
作る物の形状が変われば道具も変わります。


道具を作るための道具も必要です。

どれを使う?
正しく選ぶには、知識も経験も必要です。

木と木を組んだり、墨壺で正確な直線を引いたり、曲尺の表裏の目盛りで円と四角をかけるようになっていたり、知恵と工夫のかたまりです。


そして、実用的な部分だけでなく、仕上がりも美しく。

自分の生活に凄く近いところにあること。
こういう中で暮しているんだと嬉しく思ったり、丁寧に作られた物の中での暮らしが減ってきているのかな?と寂しく感じたり…
機械化は効率よく均一な物を作ることができて素晴らしいことですが、手の技も廃れて欲しくないです。



展示室内は、ずっと木の良い香り。
木によって、肌触りや香りが違います。
触れても良い展示がたくさんあって、頭も使うし手も使うし、鼻も使って、身体全体が喜ぶ場所でした。


お土産に鉛筆を1本。


この鉛筆、すべすべして触り心地がとても良く、凄く軽いです。
木の香りがふわっとして、何だか良い気分です。

楽譜の書き込みに使っています。
お土産は大切にとっておく派なのですが、素敵な鉛筆だし使おう!と思って、削りました。

まだ長いので、小さなペンケースから飛び出してしまっています。
細かくたくさん書くなら先が細いシャープペンシルの方が良いです。
それでも、自分で選んだお気に入りの物が目の前に置いてあるのは気分の良いものです。


展示の中に、棟梁さんの「道具は手の延長」という言葉がありました。


ピアノなら鍵盤もハンマーも手の延長でなくてはなりません。
とても自然な良い音を出される演奏は、肩からハンマーの先までが繋がって動いているように見えます。

なかなか私の思い通りの音が出てこないピアノ。
「はじめまして」のピアノの性格を分析するのは早い方だと思いますが、すぐには仲良く繋がれない私の手…

良い道具があっても、使いこなせるかどうかは扱う人間次第。
それは、大工さんの世界もピアノの世界も同じかもしれません。

【まごいち音楽教室】
TEL:080-3130-7057
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