2023年6月26日

≪理想のピアノを探せ!2台目≫ その⑰ 調律師という肩書

グランドギャラリーで購入したG5Eのピアノ。
垂直になるまで開かない鍵盤蓋を正しい位置まで開くように直す過程で、グランドギャラリーの調律師さんが入れたのこぎりの刃がガタガタの傷になってしまいました。
しかも、雑音などの不具合は放ったらかしのまま「グランドギャラリーでは直せません」と匙を投げられてしまいました。


さて、もとからあるヤマハC3のピアノ、そろそろ調律が必要な時期なので、いつもお願いしている調律師さんに来ていただくことにしました。
そのついで、G5Eのピアノについても相談してみることにします。

来てくださる調律師さんは、最初に鍵盤蓋が垂直でない原因を教えてくださった方です。

まず、拍子木の傷を見ていただき、どうしてこんな傷が付いてしまったのか、グランドギャラリーさんとの経緯をお伝えしました。
目分量でのこぎりでギコギコされたと言うと、調律師さんは驚かれていました。
グランドギャラリーさんは「正しかった」と言い張っていらっしゃいますが、誰が見ても誰が聞いても驚く事態ですよね?

調律師さんに相談すると、「拍子木は地面と平行ではない」ということを教えてくださいました。

私は気付いていませんでしたが、まず、鍵盤は地面と平行ではないとのことです。
手前が少し高くなっています。
平行にすると、人間の感覚的には平行だと感じないそうで、手を置いたときに平行だと感じるように手前が高くなっているそうです。
ですから、拍子木も鍵盤に合わせて手前が少し高くなるように作られているとのこと。
そして、そうすることで、何か物を置いた時にコロコロコロ…と転がって下に落ちるのを防ぐこともできるようです。

確かに、取り出された鍵盤を見ると、平行にはなっていません。


拍子木もきちんと見ると、上下平行ではありません。


ですから、拍子木の下に厚みを入れたことで手前が低くて奥が高くなっているG5Eはとても不自然だとのこと。


正しく直すためには、やはり、のこぎりの刃の傷のある場所を削るそうです。
ですが、やっぱりこれは切り過ぎだし、作業も粗過ぎ。
やすりで少しずつ薄く削いでいくそうです。

調律師さんのところで、削っていただけないか、傷を直していただけないか、お願いしました。
ありがたいことに、協力してくださるそうです。

そして、雑音のことも相談してみました。
真ん中のミの音。
弾いた後、鍵盤を離してダンパーが落ちてくる時に「カシャ」という音が聞こえます。
弾いてみると、すぐにわかってくださり、直してみようかと手を入れてくださいました。

今まで、どの調律師さんも雑音を聴き取ることすらできなかったのですが、この調律師さんはすぐに聴き取ってくださいました。

原因はダンパーの下の方にありました。
ダンパーレバーに重りが入っています。
木の収縮によって重りと木の間に隙間ができ、重りが動くようになってしまっていました。
それが雑音のもとです。
重りの真ん中を押して、横に広げる(かしめる)ことで、木に密着するように隙間をなくして動かないようにしてくださいました。
重りですから、何かを挟んだりする方法では、重さが変わってしまいます。


私は気付いていませんでしたが、他の音でも同じように雑音が起こっている場所を見つけてくださり、対処してくださいました。
ありがたいことです。

そして、その辺りを調整してくださる中で「ダンパーの止まりが悪くないですか?」とのこと。
そうなんです!
止まらない音があるのです。
グランドギャラリーさんに相談しても直してもらえなかったことの一つです。
この調律師さんには一言も言っていなかったのですが、気付いて直してくださいました。

雑音を聞き取れなかったり、聞き取れていないのに闇雲に直そうと手を入れてみたり、挙句の果てに直せないとおっしゃる調律師さんもいます、
一方で、私が気付いていない不具合まで見つけて適切に直してくださる調律師さんもいます。

「調律師」という同じ肩書なのに、仕事のレベルが全然違います…

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