明日は発表会。
ちゃんと全員揃うかな…
どんなに具合が悪くても、気合と根性で弾きます!という時代ではなくなりました。
曲をきちんと弾けるかどうかの前に、全員が出演できるかどうか、それが心配。
さて、発表会の曲のように、長い時間をかけて高い完成度を目指していると、普段のレッスンではできないところまでアドバイスすることができます。
発表会の曲が仕上がってきた生徒さんたち。
少し前のレッスンでよく言ったことは、「自分の音を良く聴きましょう」ということ。
まずは、自分がどんな音を出しているのか、それをきちんと把握しなければなりません。
本当に自分が弾きたいと思っている理想の音が出ているのか、目指す音楽が出てきているのか。
そして、最近のレッスンでよく言ったことは、「空間を使って音楽を作ろう」「音を飛ばそう」です。
いくら楽譜に忠実に丁寧に演奏をしていても、こじんまりとまとまってしまった音楽は魅力半減です。
音は空気の響きです。
空間全体を使って大きく音楽を作ること、音楽の役割に応じてふさわしい場所に音を飛ばすことが大事です。
「どこの音を聞いている?」と質問をすると、鍵盤を見る生徒さん。
何となく、鍵盤を押すと音が出るので、鍵盤から音が出ているような気になる生徒さんも多いです。
それに、目と耳は同じような場所を向くようになっていますから、鍵盤を見ながら弾いていると、耳も鍵盤の方を向くことになります。
ピアノの弦のところの音を聞いていると言う生徒さんもいます。
確かに、ハンマーが弦を打った時に音が発生するので、音の出所はそこで間違いありません。
ですが、弦の振動から出る音はとても小さく、それをピアノの音として聞こえるように増幅させているのが、弦の下にある響板です。
スピーカーのような役割と言われています。
その響板からでた音は、空気の振動となって、人々の耳へ届きます。
ですから、演奏者が聴くべきなのは、空間の音。
そこで使える最大の空間の音を聴かなければなりません。
音を飛ばす向きや距離も大事です。
遠くまで飛ばしたいのか、近くで歌うのか、上でキラキラさせるのか、下向きにどっしりと響かすのか…
メロディと伴奏の2つの声部でできている曲ならば、少しメロディをわかりやすく弾けばバランスがとれるでしょう。
それが、3声や4声の音楽になったり、主旋律、副旋律、和声、ベース…
たくさんの声部が出てきた時に、メロディだけを大きく弾いているつもりなのに、どうしても混ざってしまうことがあると思います。
単純に大きさだけを変えても、抜きんでて目立つのは難しいです。
そこで、それぞれのパートの音色を変えると、わかりやすく弾き分けられます。
例えば、伴奏は弦楽器、メロディはフルート、そういう合奏なら、とてもわかりやすいですね。
ピアノ1台、一人の両手ですが、それでもいろんな音色を作ることができます。
そして、もう一つは、響かせる場所を変えること。
全てを同じ場所で響かせると、混雑してしまいます。
ミュージカルで主役と脇役がいくら違う声質で歌っていても、物理的に同じ場所を取り合いしていたら、観ている方は訳がわからなくなるでしょう。
響きの場所を変えると、各声部をわかりやすく分けることができます。
複数の声部、いろんな場所を耳が聴き分けることができる、高度なことですが、出来れば素晴らしいです。
普段のレッスンでは次から次へと曲をこなしていく必要があるので、ここまで突っ込んでレッスンすることはあまりありません。
ですが、本当は、指が動くこと、楽譜通りの強弱で正しく弾けること、そういうことと同じように、響きを作ること、響きを制御することも大切なことです。
コンクールなどで何度も舞台で弾いている生徒さんと、レッスンだけで上達していっている生徒さんの大きな違いは、空間全体で音楽を作っているかどうかです。
発表会の直前まで、正しい音をさらうこと、間違えずに弾くことで精一杯の生徒さんもいます。
何度もリズムやフレージングを直さなくてはならない生徒さんもいます。
それでも、どの生徒さんも、いつものレッスンよりも一回り上の段階でレッスンを受けてくれました。
本番用のレッスン、舞台で弾く経験、凄く大事なのだと痛感しています。
運営側は、忘れ物ないかな?とそわそわしています…