レッスンで使う教材は生徒さんによって異なりますが、バイエルの後ろの方の曲を抜粋して使うことがあります。
ハノン、バイエル、オルガン・ピアノの本の3冊でレッスンを進めている生徒さん。
もうすぐバイエルは終了です。
先日のレッスンで、生徒さんが「バイエルが一番好き!」と言いました。
バイエルは練習曲集ですので、曲名も付いていませんし、何だか真面目で落ち着いた曲が多いです。
なぜバイエルが好きなの?と聞いてみると「きれいな曲がたくさんあるから」と言いました。
ゆったりとしたきれいめの曲が好きな生徒さん。
確かに、バイエルには柔らかくて優しい印象の曲が多いです。
バイエルを使う目的は、Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの役割と和声の流れをつかんで欲しい、スタンダードな伴奏形を習得して欲しい、自然なメロディとフレーズに触れて欲しい、など、いろいろとあります。
そこには、古典派の時代の和声に則った真ん中の綺麗さがありますよね。
どんな曲でも丁寧に弾く生徒さんです。
音色も美しいです。
最近は歌って弾くことができるようになり、演奏に表情が出てきました。
次の一歩は「フレーズ」。
旋律を一つずつのかたまりで適切に区切ることです。
スラーなどの指示があれば良いですが、何もなければかたまりを自分で見つける必要があります。
新しいフレーズで弾くということは、前のフレーズの終わり方の処理をきちんとするということでもあります。
文章で言う読点(、)なのか、句点(。)なのか。
弾き切るのか、まとめるのか。
どう弾くべきなのか、そこまでは楽譜には書いていません。
ですから演奏者が自分で考えて良い選択をしなければなりません。
話す時には無意識でできていることです。
不自然に単語の真ん中で息を吸うことはないでしょうし、自然と抑揚を付けて話しているはずです。
それに、状況に応じて明るい声、小さな声、怖い声…、いろんな声を使い分けているでしょう。
それがピアノになった途端、息継ぎがなくなり、抑揚がなくなり、言葉のまとまりも消えて、ロボットのようになってしまうのです。
音楽も話すように弾くと自然なフレーズで弾けるはずです。
何も言わなくても、無意識のうちにできている生徒さんもたくさんいます。
頑張って習得していく生徒さんもいます。
楽譜の音符や休符、強弱記号に忠実に弾くのはもちろん大切なことですが、そこに表情も付いてくると、もっときれいな音楽になります。
きれいなバイエルの曲、演奏の仕方でもっともっときれいな音楽になりますよ!